世界のリーダーの劣化が止まらない 内閣広報室提供


 ケネディの後を継いだジョンソン大統領は、ケネディが慎重だったアメリカ正規軍のヴェトナムへの投入を決断する。ヴェトナム戦争は急激にエスカレーションの一途を辿り、泥沼化。アメリカ国内は八つ裂きの状態にあった。ボビーにとって一番の問題はヴェトナムをいかに解決するかであった。

 ヴェトナムに関する彼のスピーチは、政策面よりもモラルの哲学の面から語ったものが多い。道義的に間違っているからストップするべきという主張だ。1967年3月、上院でボビーは議員たちに訴えた。

「不完全なこの世界は、時には戦争という行為を必要とするかもしれぬ。しかし、心に正義を持った人間は、それらの行為がたった一人の子供にもたらす苦しみと痛みから目をそむけてはならない。(中略)

 ヴェトナムの子供たちを焼き殺しているのは、われわれの化学兵器であり、村々を破壊しているのはわれわれの爆弾なのだ」

 このスピーチを思い起こす時、米大統領の劣化を嘆かずにはいられない。今年4月6日、米中首脳会談の最中に、アメリカの駆逐艦からシリアのアサド政権支配下の空軍基地に向けて59発のトマホークミサイルが発射された。

 内戦状態にあるシリアで、政府軍が化学兵器を使用して多数の死者が出たことへの対抗措置だというが、その説明を鵜呑みにする者はいないだろう。トランプはそれに先立つ4月2日のフィナンシャル・タイムズのインタビューで、北朝鮮の核・ミサイル開発について「中国が解決しなければ、我々がする」と述べ、中国が北朝鮮に対する圧力を強化しなければアメリカは軍事行動を辞さないと仄めかしていた。

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