芸能

俳優・加藤剛 ドラマ『人間の條件』が、人生を変えた

正義感の強い役を演じることが多い俳優・加藤剛

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、正義感の強い役を演じることが多い俳優・加藤剛が、役者としての本格デビューとなったドラマ『人間の條件』について、何度も作品に出演した木下惠介監督との思い出を語った言葉を紹介する。

 * * *
 加藤剛は1962年、TBSのドラマ『人間の條件』で役者として本格デビュー、戦時中に前線にいながらも自らの正義を貫く主人公・梶を演じた。

「その時のプロデューサーが養成所の稽古場で稽古しているのを見てくださり、中野誠也と私が応接室に呼ばれて、最終的に私が選ばれました。

 まさか、そういう大きな役をやれるとは思っていませんでした。この時は養成所の二年生で、撮影のためにほとんど授業に出られなかったので落第しました。

 初めてのカメラ前での演技でしたが、カメラを意識したことはありませんでした。演じるということは、その時の相手役と交流しながら本当にその時の役柄の気持ちになって生きることですから、それは舞台もカメラ前も変わりません。

 それだけに、毎日が大変でした。日常もその役の生活を意識しながら過ごすわけですから。兵隊として命令をきかないといけない中で、どう良心を生かすのか。そうした戦争の極限状況の中で人間としていかに生きるかを常に考えていましたから、辛くて苦しい日々でした。当時は姉の家に居候していましたが、『なんだか顔が変わってきた』と言われました。役者は、その役の中に入って生活すると自身の生活も同じになるから、顔も変わっていくんでしょう」

 その後の加藤の演じる役は梶と同じく、どんな困難な状況にあっても正義や良心を貫く硬骨漢であることが多い。

関連キーワード

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
野球人・江夏豊が球界に伝えておくべきことを語り尽くす(撮影/太田真三)
【江夏豊インタビュー】若い才能のある選手のメジャー移籍は「大いに結構」「頑張ってこいよと後押ししたい」 もし大谷翔平と対戦するなら“こう抑える”
週刊ポスト
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン
11月下旬に札幌ススキノにあるガールズバーで火災が発生(右はInstagramより)
【ススキノ・ガルバ爆発】「男は復縁の望みをまだ持っていた」火をつけた男は交際相手A子さんを巻き込んで死のうと…2匹の犬を失って凶行に
NEWSポストセブン
再婚
女子ゴルフ・古閑美保「42才でのおめでた再婚」していた お相手は“元夫の親友”、所属事務所も入籍と出産を認める
NEWSポストセブン
54歳という若さで天国に旅立った中山美穂さん
【入浴中に不慮の事故】「体の一部がもぎ取られる」「誰より会いたい」急逝・中山美穂さん(享年54)がSNSに心境を吐露していた“世界中の誰より愛した人”への想い
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《真美子さんのバースデー》大谷翔平の “気を遣わせないプレゼント” 新妻の「実用的なものがいい」リクエストに…昨年は“1000億円超のサプライズ”
NEWSポストセブン