昨年には月替わりでハンバーガー単品を数十円から100円前後値下げする低価格戦略を強化。軽食ニーズに合わせてノーマルなチーズバーガーの価格を240円から150円に引き下げたりもした。現在は具材のダブルをコンセプトにした「ダブルキング」シリーズにポテトSとドリンクがセットで490円というキャンペーンを展開中だ。
さらに、牛肉のパティ以外に豚肉や鶏肉の具材を使ったバーガーを増やしたり、トマトやアボカドなど野菜をふんだんに使うなど健康志向の高まりにも対応。また、朝食メニューを大幅に見直し、クロワッサンサンドイッチを採用するなど、女性客を意識した商品構成も目立ってきた。
フードコンサルタントで「バーガー研究家」の肩書きも持つ白根智彦氏は、こうしたバーガーキングの取り組みに一定の評価を与える。
「バーガーキングは基本的にはアメリカの本部で決めたメニューや調理オペレーション、グローバルな食材仕入れなどが決まっているので、日本の店舗だけ自由な商品開発ができるわけではありません。
とはいえ、アメリカ発のハンバーガー文化を残しつつ、ソースの味ひとつとっても日本人に合うように改良するなど細かい積み重ねが総合的な質の向上に繋がってきています。ファストフードの域を超えて“丁寧に作っている”という評価がもっと広がれば、新規の客層も掴めると思います」
ただ、気がかりな点もある。これまでバーガーキングはマック追撃とばかりに、マクドナルドのメニューや価格に対抗したマーケティング戦略をとってきたが、今後の仮想敵は同業他社ばかりとは限らない。
「マクドナルドは店舗閉鎖が相次いだとはいえ、約2900店ありますし、いまやハンバーガー業界のライバルはコーヒー1杯とってもコンビニとの争いが熾烈になっています。バーガーキングのワッパー単品490円を出せばコンビニでは弁当も買える価格ですしね。
これからは、値段に見合ったハンバーガーの価値をこつこつと高めていく努力が必要です。それができなければ、さらなる過当競争を引き起こすだけです」(白根氏)
新たな後ろ盾を得て勝負に出るバーガーキングは、どこまで日本市場で存在感を高めることができるか。