ビジネス

マツダの次世代コンパクトカーはVWゴルフ7を凌駕するかも

次世代エンジンを積んだ試作車の走りは上々


 このスカイアクティブ-Xを搭載したモデルを、マツダはどのくらいの価格で売るのか。スカイアクティブエンジンの開発を手がけてきた人見光夫・常務執行役員は値付け感について、

「商品には性能だけでなく格というものがある。ディーゼルエンジンやハイブリッドであれば高い金額を支払ってもらえるが、圧縮着火とはいえガソリンエンジンをそれらと同じ価格でというわけには行かないでしょう。ディーゼルよりは安く売らざるを得ないでしょうし、コスト的にそれは可能だと思っています」

 と語る。そのエンジンもさることながら、試作車のドライブで印象的だったのは、むしろ車体やシャシー(サスペンションなど走行系の部分)のほうだった。

 エンジンの効率はいわば縁の下の力持ちのようなもので、運転の仕方に対する実燃費を見るなどしたときに初めて実感できるもの。それに対し、ボディ、シャシーのほうは走行性能として、その場でダイレクトに体感可能だ。

 現行アクセラのものから第2世代へと進化する次世代スカイアクティブシャシーで作られた試作車の走行性能は至って素晴らしいものだった。

 ハンドル操作に対するクルマの応答は良好で、車線変更や危険回避の動きをみるダブルレーンチェンジ(車線変更し、その後すぐに元の車線に復帰する)でもクルマはぐらついたりせず、とても綺麗な軌跡を描く。現行アクセラも悪くはないが、それより一歩も二歩も秀でている。

 が、第2世代スカイアクティブシャシーが驚異的に思えたポイントは運動性能ではなく、静粛性の高さであった。

 現行アクセラも昨年の大型改良によって初期型に比べるとかなり静かなクルマになったのだが、新ボディ&シャシーが生む静粛性は、それとまったく次元が異なるレベル。スペックの高いタイヤを履いているにもかかわらず、ロードノイズや風切り音はきわめて高いレベルで遮断されており、100km/h超のスピードでも室内は驚異的に静かであった。

 コンパクトクラスで静粛性が高いモデルの代表格はフォルクスワーゲン(VW)の現行「ゴルフ7」だが、試作車は発売まで約2年という今の段階ですでにゴルフを大きく凌駕しているように感じられた。これからむしろどういう音をドライバーに選択的に聞かせるかという感性チューニングがテーマになりそうなくらいであった。

 室内騒音は大きく分けて、車体やガラスを通過して室内に聞こえてくるもの、車体の隙間から入り込んでくるもの、車体構造を伝わってくるものの3種類がある。マツダのエンジニアによれば、新ボディ&シャシーは騒音侵入の要素すべてについて徹底的に原因究明や解析を行い、対策を施した設計となっており、防音材に頼らず静粛性の高さを達成したのだという。

 乗り心地についてはおおむね良好なものの、路盤の継ぎ目のような衝撃の入力ではブルつきが残るなど、まだ煮詰めの余地が残ってはいた。が、試作車は2年後の仕上がりを期待させるに十分なパフォーマンスと商品力を有しているように感じられた。

関連記事

トピックス

元皇族の眞子さんが極秘出産していたことが報じられた
《極秘出産の眞子さんと“義母”》小室圭さんの母親・佳代さんには“直接おめでたの連絡” 干渉しない嫁姑関係に関係者は「一番楽なタイプの姑と言えるかも」
NEWSポストセブン
岐阜県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年5月20日、撮影/JMPA)
《ご姉妹の“絆”》佳子さまがお召しになった「姉・眞子さんのセットアップ」、シックかつガーリーな装い
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
川崎春花
女子ゴルフ“トリプルボギー不倫”で協会が男性キャディにだけ「厳罰」 別の男女トラブル発覚時に“前例”となることが避けられる内容の処分に
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”「夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
《司忍組長の「山口組200年構想」》竹内新若頭による「急速な組織の若返り」と神戸山口組では「自宅差し押さえ」の“踏み絵”【終結宣言の余波】
NEWSポストセブン
第1子を出産した真美子さんと大谷(/時事通信フォト)
《母と2人で異国の子育て》真美子さんを支える「幼少期から大好きだったディズニーソング」…セーラームーン並みにテンションがアガる好きな曲「大谷に“布教”したんじゃ?」
NEWSポストセブン
俳優・北村総一朗さん
《今年90歳の『踊る大捜査線』湾岸署署長》俳優・北村総一朗が語った22歳年下夫人への感謝「人生最大の不幸が戦争体験なら、人生最大の幸せは妻と出会ったこと」
NEWSポストセブン
漫才賞レース『THE SECOND』で躍動(c)フジテレビ
「お、お、おさむちゃんでーす!」漫才ブームから40年超で再爆発「ザ・ぼんち」の凄さ ノンスタ石田「名前を言っただけで笑いを取れる芸人なんて他にどれだけいます?」
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン