ビジネス

マツダの次世代コンパクトカーはVWゴルフ7を凌駕するかも

東京モーターショーで明らかになるマツダの次世代コンパクト車

 マツダは10月25日に報道陣向け公開が始まる東京モーターショーに、新しい高効率エンジン「SKYACTIV(スカイアクティブ)-X」と新規開発の車体、シャシーからなる次世代コンパクトモデルのコンセプトカーを出品するという。

 次期「アクセラ」とみられるこのモデルについて、マツダは2019年発売というスケジュールを立てているが、開発はかなり進んでおり、現行アクセラのボディシェルをまとった試作車でテストを重ねている。

 その試作車を山口のマツダ美祢自動車試験場でテストドライブする機会があったという自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が、進化を続けるマツダ車の高いポテンシャルについて体感レポートする。

 * * *
「スカイアクティブ-X」はマツダが今年8月に技術発表を行ったものの実機。燃料はガソリンだが、燃焼はプラグ点火ではなく、ディーゼルのように圧縮で発生する熱で行うという、自己着火型(CCI)エンジンだ。

 CCIはガソリンエンジンの熱効率を飛躍的に向上させる技術として世界の自動車メーカーが開発を進めているものだが、燃焼制御があまりにも難しく、実用化のめどが立っていない。

 そのなかでマツダのエンジニアは、シリンダーの圧縮ですべてをコントロールするのではなく、普通のエンジンと同じように点火プラグを設置。その周辺の爆圧を利用してシリンダー内の圧力を調節する、SPCCI(スパークプラグ自己着火)という奇策を思いつき、一気に実用化に漕ぎつけた。

 ガソリンエンジンの熱効率(投入した燃料のエネルギーに対して動力として取り出せる分の割合)は長期的には50%に向かうというのが自動車業界の技術展望。スカイアクティブ-Xの熱効率は40%を超える見通しであるものの、50%には遠く及ばない。が、その長期目標の実現に向けた重要なマイルストーンになるのは確かだろう。

 マツダのエンジニアは「ピーク熱効率もさることながら、熱効率の良い範囲の広さは今までのエンジンとは桁違い。運転パターンによらず好燃費で走れるようになる」と自信を示した。

 だが、点火プラグを使った小さな燃焼でシリンダー内全体の圧力を精密に制御することなどできるのだろうか。実際のテストドライブではその点に留意し、限られた時間のなかでスロットルの踏み込み量を急に、あるいはじんわりと変えたりと、いろいろな運転パターンを試してみた。

 結論から言えば、市販車デビューの予定時期まで2年ほどがある現時点で、大きな弱点はすでにほとんど見られないくらいの域に達していた。急に大トルクを発生させてもカリッというノッキング音ひとつ出さなかった。

 現在残っている欠点は、定速クルーズから緩い加速に移るさい、わずかに息つき感があることくらいだが、2年もあればそれは解消させることができるだろう。

 過給器つき2リットル直列4気筒というこのエンジンの予定スペックは最高出力190馬力、最大トルク230Nm(23.4kgm)とのこと。それだけのパワーが出せているかどうかを実際にチェックできる走行環境ではなかったが、排気量2.5リットルの自然吸気エンジン並みのゆとりはあるように感じられた。

関連記事

トピックス

長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン