離婚したものの、諸々の都合から元配偶者が所有するマンションに住む人もいるかもしれない。離婚した夫や妻が所有する部屋に住んでいる場合は出ていかなくてはいけないのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
1年前に妹が協議離婚。慰謝料はなく、元夫が購入したマンションに住んでいます。問題は元夫が再婚するそうで、そのマンションで新生活を始めたいから「出てほしい」と通達してきたこと。妹は息子の学校のこともあり、出たくないみたいなのですが、それでも部屋を明け渡さなければいけないでしょうか。
【回答】
妹さんはタダで住んでいると思いますが、その関係は普通は「無償で使用及び収益をした後に返還をすること」を約束する使用貸借です。
もっとも、結婚後に購入されたマンションは元夫名義であっても、妹さんには夫婦の共同財産として清算を求める権利があります。また、慰謝料代わりに住むことが認められたとすれば、単純な使用貸借とはいえません。マンションや慰謝料の清算をするまで元夫に対し、居住を主張できるでしょう。
しかし、元夫が離婚後もマンションのローンを払うことで自分の物として確保した上、子供さんの通学を考え、居住を認めたというのであれば使用貸借です。この前提で考えると元夫の“出ていけ”は使用貸借の終了の申し出です。