ビジネス

元禄寿司 回転寿司を誕生させたアイデアマン創業者の智恵

1958年4月の1号店オープンの記念写真

 誰もが知るあの有名外食チェーンも、最初は街の片隅に生まれた小さな店から始まった。「1号店」──そこは創業者の汗と涙、熱い思いが詰まった聖地である。回転寿司チェーン・『元禄寿司』の原点を辿ってみた。

 回るレーンに載せて寿司を初めて提供した「元禄寿司」の1号店は大阪府東大阪市にある。回転寿司の生みの親、故・白石義明氏の長男で、現在は社長の白石博志氏はこう語る。

「元々、父は昭和20年代に大阪府布施市(現在の東大阪市)で、天婦羅を主体とした割烹料理店を営んでいました。ただ割烹料理店はツケが多く、あまり儲かっていなかったんです。この辺りは工場が多く、田舎から集団就職で出てきた人が多かったんですが、そんな人が大阪で食べたいのは寿司でした。そこで寿司屋への転換を図りました」

 商売は順調だったが、職人が定着しないのが悩みだった。だがカウンターの中には数人の職人が必要だった。狭いカウンターの中で客の注文を受ける必要があったが、これを少数の職人で対応できないかと考えた。そんな折、吹田のビール工場に見学に行ったことが転機となる。1948年のことだった。

「ビール工場の製造で使われているベルトコンベアにヒントを得た。自分の後ろを見なくても職人はただ寿司を握っているだけでいいと考えたんです。お客さんの中には鉄工所の社長も多く、知恵を借りてベルトコンベアを作り出しました」(同前)

 改良を重ね、1957年に「コンベア旋回式食事台」が完成する。そして1958年4月に「廻る元禄寿司1号店」が誕生。その後は全国にフランチャイズ展開もしたが、今は目の届くところで商売をしたいと、兵庫と大阪に計10店舗の直営店のみとなっている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

筒香が独占インタビューに応じ、日本復帰1年目を語った(撮影/藤岡雅樹)
「シーズン中は成績低迷で眠れず、食欲も減った」DeNA筒香嘉智が明かす“26年ぶり日本一”の舞台裏 「嫌われ者になることを恐れない強い組織になった」
NEWSポストセブン
テレビの“朝の顔”だった(左から小倉智昭さん、みのもんた)
みのもんた「朝のライバル」小倉智昭さんへの思いを語る 「共演NGなんて思ったことない」「一度でいいから一緒に飲みたかった」
週刊ポスト
陛下と共に、三笠宮さまと百合子さまの俳句集を読まれた雅子さま。「お孫さんのことをお詠みになったのかしら、かわいらしい句ですね」と話された(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
【61才の誕生日の決意】皇后雅子さま、また1つ歳を重ねられて「これからも国民の皆様の幸せを祈りながら…」 陛下と微笑む姿
女性セブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン