友連会のいう「交流」の本当の狙いは、沖縄と日本本土との間に楔を打つことにある。基地問題を背景に沖縄では日本政府への不満が高まっているが、友連会がそうした気運を利用しようという動きを、筆者は、過去に取材したことがある。

 それは2012年8月、東京都の石原慎太郎知事(当時)が尖閣諸島を都が購入する計画をぶち上げ、これに反発する中国との関係が急速に悪化していた頃だった。

 その最中に那覇市内のホテルでセミナーが開かれた。主催したのは、中国の友連会と「交流」していた日本の日中友好団体である、沖縄・中国友好協会。講師として清華大学の劉江永教授を招いた。中国きっての日中関係の研究者として知られ、友連会の理事でもあった。

 当時、沖縄・中国友好協会の幹部はセミナーについて、こう説明していた。

「石原都知事が尖閣の購入を表明した直後に、友連会から沖縄で尖閣問題について議論する場を設けてほしいとの要望を受けました」

 このセミナーでの議論をもとにまとめられたのが、「沖縄の〈万国津梁の想い〉をもって、尖閣の海と島の平和と発展を考える」という文書である。

 A4判にして十数枚になる文書には、尖閣領有権問題の処方箋として、短期的に「領有権の棚上げ」を行い、その上で「政府と沖縄との間で、尖閣の土地の賃貸借契約を締結」し、沖縄に「尖閣の管理を委託」することを目指す、といった内容が書かれていた。

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