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長さ1000kmの水路使うタクラマカン砂漠の農地化計画

 このような計画はすでに、清朝時代末期の政治家、林則徐らが皇帝に提案していたが、あまりにも規模が大きすぎたことから計画倒れに終わっていた。この計画を引き継いだのが中国科学院で、中国政府は今年初めに約100人の専門家チームを結成して、計画の具体化に着手している。当初予算は約1500億元(約2兆6000億円)を見込んでいる。

 とはいえ、計画の実現のためには解決すべき課題は山積している。まず、チベット高原周辺は地震多発地帯であるため、建設を進めている最中に、地震が発生した場合の対応だ。また、現地の気候は寒冷であることから、工事は夏期しかできないという時間的な制約もある。

 最も厄介なのが、周辺諸国からの反対運動だ。チベット高原の水源はガンジス河やメコン川、イラワジ川などインドやバングラデシュ、東南アジア諸国に流れ込んでおり、貴重な水資源となっている。ひとたび、工事が始まれば、水の流れが変わり、それらの大河への水量が少なくなることも考えられるだけに、大きな国際問題に発展するのは必至だ。

 中国科学院の張伝慶・武漢岩土力学研究所研究院は同紙に対して、「今後10年以内にトンネル掘削技術やコスト面の節約は可能だ。とはいえ、各国の利害の衝突は避けられないものの、カリフォルニア州の灌漑事業の例もあり、新疆以外にも、他の地域のプロジェクトを通じて、他の河川の生態系も守ることができると粘り強く説得していくしかない」と指摘している。

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