狭い客室面積でユーザーの辛口評価も
アパホテルの経営は高収益のビジネスモデルとして注目され、利用者からはベッドのクオリティ、大型サイズのテレビといった備品類への評価が高い。また、大浴場の設置やフリーチェックアウトといったサービス面でも人気となっている。だがその反面、料金変動の激しさ、他チェーンと比較して狭い客室面積といった点でユーザーの辛口評価も見かける。
アパホテルは出店スピードの速さでも知られる。都心にいると、ここにも建ったのか!?と驚くことがある。新たに建てられたアパホテルは、ゴージャスな印象のロビー、新しいホテルならではの清潔感といったイメージだろうか。
だが、そのようなイメージで地方のアパホテルへ出向くと期待を裏切られることがある。古いホテルをリブランド、リニューアルしたケース、FC店が多くみられるのも大手チェーンの中ではアパホテルが突出している。
東横イン、ルートイン、スーパーホテル、リッチモンドホテル、ドーミーインといった有名チェーンを見ると、一部例外はあるものの店舗ごとにブランドクオリティの均一感がある。
一方、アパホテルでは、新築店舗とリブランド店舗では相当なクオリティの差異があるケースも見られる。
古い建物のホテルは、小手先のリニューアルで高い快適性を実現するのは難しいことがある。新築店舗の高評価・リブランド店舗の低評価というレピュテーションもまたアパホテルのブランドクオリティの一端を示す特徴といえる。新築店舗の増加はもちろんであるが、既存店舗・リブランド店舗のさらなる改善、快適性向上にも期待したいところだ。
とある繁忙日、予約サイトで新宿エリアのホテル料金をチェックしていたところ、某外資系高級ホテルよりもアパホテルの料金が高いという“逆転現象”に驚いたことがある。
料金に見合ったハードやサービスが提供できているのかという点はさておき、ビジネスホテルがシティホテルと同等の料金という事態に戸惑う利用者がいるのは理解できる。他方、ホテルの料金が変動するのは常識であるし、相当高い料金でも利用するゲストがいるから成立しているビジネスモデルともいえる。
そのような側面がある中で、“困ったときはお互い様”という日本人の感覚、商慣習からアレルギーがあるのも事実だ。ホテルも商売、稼げる時にはさらに稼ごうとするのは当然という一方で、ハードやサービスのクオリティに見合った料金設定を堅持するホテルも際だっている。
例えば、東横インは基本的に料金変動させないことで知られるが、クオリティやサービスとは関係なく料金変動をすすめるホテルと、変動の僅差を堅持するホテルとブランド間のスタンスは今後ますます明確になっていくだろう。