都電荒川線町屋駅前で毎年開催される「バラ市」
実際、小池百合子都知事も”東京さくらトラム”という愛称を発表する4月28日の記者会見で「地域の方々が一生懸命バラを育てられて、もうそろそろバラ、ちょうどいい季節になってきて、本当はあの地域の方はきっと『バラトラム』にしたかったと思うんです」と述べ、その言葉に続けて「5月は、車内をバラで装飾いたしました『都電バラ号』も運行することとなっております」とも口にしている。小池都知事も「都電荒川線だったら、桜よりバラ」という気持ちを抱いていることを示唆する発言だ。
小池都知事は、衆議院議員時代に旧東京10区を地盤にしていた。旧東京10区には豊島区が含まれる。だから記者会見では地盤である豊島区のバラしか言及していないが、都電荒川線の沿線でもっともバラの植栽に力を入れているのは荒川区だ。
荒川区が都電荒川線の沿線にバラを植栽する事業を始めてから、20年以上もの歴史がある。荒川区は都電の線路沿いを”緑の軸”と位置付け、官民一体でバラによる緑化推進に取り組んでいる。鉄道ファンの間でも沿線住民の間でも、都電沿線の花と言えば桜ではなくバラなのだ。
そんなバラに囲まれた都電荒川線が、”東京さくらトラム”という愛称になったのは皮肉でしかないが、それ以上に駅ナンバリングをSAkura-tramでSAにしてしまうのは強引すぎではないだろうか?
「確かにSAだとピンとこないかもしれません。しかし、交通局でも駅ナンバリングの導入に際して他社線の状況をリサーチし、京王電鉄井の頭線がIN、伊豆急行伊豆急線がIZという駅ナンバリングを使っていることを把握しました。そうした先行事例を参考にして、SAという駅ナンバリングに決定したのです」(同)
釈然としない気持ちは残るが、他社線にも例があるのなら受け入れざるを得ない。蒸し返すようだが、都電荒川線という名称から想像されるTAは関東圏で使用例がないので使えるはずだが、どうしても”東京さくらトラム”という愛称を広めたいのだろう。それでは、こうした駅ナンバリングはどのような基準やルールで制定されるのだろうか?