顎の下にあるしこりは今も少しずつ大きくなっている。
「しこりが唾液腺の神経に触っているので喋るとつばが出にくくなりますが、自分が『逃病』を選んだ結果なので、家族や周囲に愚痴を言うつもりはありません」(同前)
西村さんや中村医師は、「闘病」より「逃病」のほうが豊かな人生を送れると確信している。
「私はこれまで、医師として末期がん患者を300人以上看取ってきました。その経験から、がんはそのままにしたほうが治療するより痛みが少なく、長生きできると感じています。
がんの痛みは、主に抗がん剤の副作用によるものです。薬を飲まず、がんを放置しておけば痛みは少ない。しかも抗がん剤が高い効果を発揮するのは精巣がんや白血病など一部のがんだけで、その他のがんに対しては腫瘍を小さくすることはできても完治は難しい」(同前)
※週刊ポスト2017年12月8日号