2席目は、白鳥が柳家三三と続けている「両極端の会」で、「三遊亭圓朝作『牡丹灯籠』の改作を」という三三のリクエストに応えて3年前に創作した『牡丹の怪』。「カラン、コロン」で有名な『お札はがし』の「お露」と「新三郎」を、現代の「飯島つゆ」という娘と「柳家ミミ」という落語家の物語に置き換えたもので、シモネタも交えて爆笑させつつ、牡丹の化物が暴れまわるダイナミックな展開から感動のエンディングへ。「花」にちなんでのナイスなセレクトだ。
3席目は「雪」にちなんで『雪国たちきり』。若旦那と芸者の悲恋を描く『たちきり』の舞台を白鳥の故郷「上越高田」に移した改作で、今まで2回しかやったことがないという。芸者「小糸」を津軽出身という設定にし、クライマックスでは客演の小山清雄が奏でる津軽三味線の音が響く。いつもの白鳥らしからぬガチの人情噺だが、正攻法で演じる中に白鳥の個性は充分に発揮され、実に見事な出来。「30周年」を記念する会の締めくくりにはピッタリだったと言えるだろう。
●ひろせ・かずお/1960年生まれ。東京大学工学部卒。音楽誌『BURRN!』編集長。1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。『現代落語の基礎知識』『噺家のはなし』『噺は生きている』など著書多数。
※週刊ポスト2017年12月8日号