国内

観光資源豊かな八戸市 市全体を博物館に見立てる構想

館鼻岸壁朝市は全長800m、約300もの店が並ぶ日本最大級の朝市

 青森県の南東部に位置し、三陸復興国立公園・種差(たねさし)海岸を有する青森県八戸市は水産都市。一方で雪国の厳しい環境の中で生まれた食や生活スタイルを市内散策しながら学べるツアーも大いに盛り上がっている。

 太平洋に面し、階上岳(はしかみたけ)などの山々に囲まれた八戸市。漁業も盛んだが、臨海部には製紙工場などがあり、北東北最大級の工場都市でもある。

 そんな八戸では2002年、東北新幹線八戸駅の開通をきっかけに、観光資源の価値を再発見するフィールドミュージアム構想が持ち上がり、今、活気にあふれている。これは、市内全域を“屋根のない大きな博物館と捉える”というものだ。

「八戸にはこれまであまり知られていない観光資源が豊富にあります。それを、街、渚、田園、祭り、歴史文化、食彩、産業、物産の8つに分けて、市全体を1つの博物館に見立てています。近年は祭りなどのほか、食文化などの観光にも力を注いでいます」(『八戸市 まちづくり文化スポーツ』観光部の馬場正泰さん・以下同)

 また、八戸はいかの水揚げ量が日本一で、さば漁なども盛んなことから、毎日、朝市で新鮮な魚介類を販売している。だが“ヤマセ”と呼ばれる、湿った冷たい海風の影響で米が採れないため、冷害にも強い小麦やそばが作られるようになり“南部せんべい”や“そばかっけ”などの郷土料理が生まれたという。

「多くの漁師が暮らす中で発展した文化も数多く残っています。海から上がると漁師たちは冷えた体を温めるために銭湯を利用します。そのため市内の銭湯は朝から開いており、朝市とともに名物になっています。ひと仕事終えた漁師の楽しみは、酒場で飲むお酒。漁師文化は彼らが通う酒場で育まれてきたのです」

 この漁師文化をはじめ、ガイド付で街歩きをするツアーや、厳しい気候の中で生まれた郷土料理を地元の人から教わる里山体験などが盛況だ。

※女性セブン2017年12月14日号

関連キーワード

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン