現在、『高血圧治療ガイドライン2014』は、「食塩摂取量が多くなると血圧が高くなる」として「国民全体におけるさらなる減塩の推進が必要」と強調する。また高血圧の治療法については、「多くの高血圧患者には薬物治療が必要である」と記述されている。
このガイドラインに従い、日本における高血圧の治療対象者は1000万人を突破、70歳以上では5割以上が降圧剤を処方されている。ガイドラインのなかで治療法とされている降圧剤には様々なタイプがある。
「利尿剤」は降圧剤の中でも国内で最も多く服用されているタイプだ。体内の水分を排出することで血液量を減少させて血圧を下げる。利尿剤に限らず、降圧剤で大きな問題となるのは、あくまで対症療法でしかないことだ。その効果は、種類にもよるが短ければ24時間とされている。
「降圧剤を飲まないと上の血圧が160ぐらいでした。それが、利尿剤を飲み始めてからは140ほどで安定してきたので、医者に『そろそろ降圧剤を辞めていいですか?』と尋ねたら、『元に戻るからずっと飲み続けてください』って……お金もかかるし、一生飲み続けなきゃいけないと思うと憂鬱です」(66歳、男性)
『減塩が病気をつくる!』の著者でイシハラクリニック院長の石原結實医師の解説。
「もちろん、血圧が180を超えるような重篤な状態の場合はただちに降圧剤を服用すべきですが、基本的には降圧剤を長期間服用しても対症療法のため、高血圧が完治することはありません。それでもいったん始めた服用をやめれば血圧が上昇し、合併症として脳梗塞や心不全を起こす可能性が生じます」
注意すべきは減塩と同じく、降圧剤に様々な健康リスクが指摘されることだ。