「分煙こそ譲り合いの社会。たばこの吸わない人の権利を守るように、自分の(吸いたい)権利も行使したい。それは、わざわざ法律で線を引いて罰則規定を設けてやることじゃない」(ジャーナリストの山路徹氏)
「東京都の“子ども条例”による受動喫煙の定義は〈他人の呼気に含まれる煙又はたばこを吸っている他人の呼気に含まれる煙〉とあり、たばこの臭気その他の排出物も含まれると書かれているが、たばこの臭気は非常に主観的なものだし、法的に違法とする範囲も不明確。また、都だけでなく区でも(路上禁煙)条例を設けているところが多いが、条例の内容や過料もまちまちで非常に複雑なのは問題だ」(現代史家の秦郁彦氏)
「規制の方法は、例えば分かりやすい喫煙所を作って明確に使いやすくする工夫をするなど、必要最小限の規制で効率的なやり方もあると思う。“嫌煙権”もそうだが、嫌○○権を政策で押しつぶそうとするのは法論理的には成り立たない話。お互いにそういうことがあっても、ある程度は我慢しつつ、ある程度は主張しつつ調和を図っていくべき」(弁護士の野中信敬氏)
「いつまでも(喫煙者・非喫煙者で)思想を戦わせていても出口は見えない。もっとエアカーテンなどの技術を開発し、たばこが嫌いな人からイヤと文句を言われないための完璧な分煙にすればいい。そうすれば経済も活性化する」(参議院議員の石井苗子氏/非喫煙者)
「たばこのデメリットばかりでなく、一服のメリットも考えてほしい。音楽を仕事にしている私にとって、仕事の区切りがついたときに一休みして一服するのは音楽の“休止符”と同じでなくてはならないもの。禁煙ファシズムにつながるような規制は容認できない」(作曲家のすぎやまこういち氏)
「日本は世界に比べて喫煙規制が緩いと言われているが、そんな事実はない。欧米は屋内禁煙が基本ルールだが、屋外は自由。それに対し、東京は屋外も屋内も家庭内も禁煙になりつつあり、すでに世界でもっとも厳しい喫煙規制を敷いている。喫煙者全滅、魔女狩りではなく、バランスの取れた建設的な議論をすべき」(経済学者の森永卓郎氏)
そして、ジャーナリストの須田慎一郎氏は、最後にこう訴えた。
「ヒステリックな主張や規制に対して喫煙者もヒステリックに反応すると、結果的には非常に不幸になる。喫煙者の側も『どこでも吸いたい』とか『子どもの顔の前でも吸いたい』と言っているわけじゃない。世間一般の平均的なルールの中で、常識的な中で喫煙する権利は認めてほしい。そのことを愚直に訴えていくしかない」
さて、来年には都条例の第二弾だけでなく、国も健康増進法の改正案として受動喫煙対策の強化について通常国会で議論し直す方針だ。果たして非喫煙者だけでなく喫煙者の権利も守る“折衷案”を見出すことができるか。