ライフ

湯気とイカの匂いが温かい 中野の路地裏角打ちは家族気分

ひっそりとした路地裏に突如出現する店の中では、誰もが家族のように寛いでいる

「こんな所にこんな楽しい店が隠れていたなんて」

 今ではすっかり常連となった人々が、初めてこの店で角打ちをしたときの共通の感想だ。
 
 この店の名は、『永世屋』(ながせや)。場所は東京・中野。
 
 JR中野駅北口を背にすると、左向かいに『中野サンプラザ』、前にはアーケードや飲食店街の灯りが煌めく、まさに繁華街が目に飛び込んでくる。
 
 しかし、店はそちらにはない。北口を左手に進み、線路沿いの小路を高円寺方面へ向かうと、同店手作りの道案内板を目印に路地に入る。
 
 途中、商店などは1軒としてなく、日も落ちたとはいえ、まだ夕方6時過ぎというのに、ほとんど人通りもなく、出合うのは北風ばかり。駅からほんの6分の道のりなのにだ。

 看板には、屋号の前に“路地裏の”と記され、主人の笠井正尚(まさなお)さん(61歳)が「いらっしゃい、路地裏の永世屋です」と笑顔で迎えてくれる隠れ家のような店。
 
 元々が薪炭商だったのだが、酒屋として再スタートを切ったのは昭和62年。そして角打ちは6年ほど前に始めたという。
 
「親父が炭屋を閉めてしまいましてね。そこで、酒問屋に勤めていた私が、いとこたち親戚中の後押しも受け、この場所で酒屋を始めることになったんですよ」(正尚さん)
 
 その後、順調な歩みを続けてきたが、酒販免許の自由化などにより、ピンチが訪れる。

「そこで、飲める酒屋にしようと考えて、店内に『酒屋のちょい呑み場』を設けたんです。でも初めはお客さんが来ないんで、やけになって自分で飲んでいましたね」(笑い)。

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト