それでもダメなら、「一晩寝てまて」。睡眠は、記憶に関係している。脳は睡眠中に、何を記憶し、何を忘れるか仕分け作業をしている。記憶は脳の海馬にいったん貯められ、レム睡眠という浅い睡眠のときに大脳皮質に移されて、記憶として固着する。
睡眠中、脳は感情の整理もしている。その日、怒り心頭に発しても、寝ている間に感情が整理され、翌朝、「まあいいか」と思えるようになることがけっこう多い。
むき出しの怒りは、周囲の人たちを傷つけ、その人自身の立場も悪くしていく。だからといって、怒らないようにするのは難しい。怒ってもいいのだ。怒ったら、それを負のエネルギーにするのではなく、建設的な正のエネルギーに変える方法を考えることが大切だと思う。
●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。近著に、『人間の値打ち』『忖度バカ』。
※週刊ポスト2018年1月1・5日号