「自殺という行為が、つらい現実から逃げる手段だと思って欲しくないんです」
「生きて逃げる勇気を持ってほしかった」
最終回、全校生徒にむかって日向が語りかたけたその言葉。
「生きて」「逃げる勇気」を持て。自殺まで考える苦しみの中にいる人にむかって、敢えて放ったその言葉の、実に複雑な深さ……。
奇しくも、それが現実の出来事と重なりました。最終回が放送される2日前、韓流スターSHINeeのメインボーカル、ジョンヒョンさん(享年27)の訃報が届き、自殺と認定され多くのファンが悲嘆にくれた。
遺書の内容も明らかに。その中には、こんなフレーズがありました。
「終わらせるという言葉は簡単だ。終わらせることは難しい。その難しさのために今まで生きてきた。逃げたいだろうと言った。その通りだ。僕は逃げたかった。僕から。君から」(中央日報日本語版 2017年12月19日)
「逃げる」ことができなかった悲しさ。制作側の想定を超えて、リアルな出来事にシンクロしてしまったドラマ。現実社会を映した鏡のようでもあり、ドラマというものがますます「生きる」ことを一緒に考え後押しする役割を担い始めた時代のようにも感じます。
制作陣も演じ手も現実の複雑さを見据え、それにしっかりと耐えて創り上げた秀作でした。