こうした状況の悪化を見越して先手を打つことはできるのだろうか。残念ながらあまり妙案はない。少なくともいざ相続が発生した時になるべく早く「貸す」なり「売る」の行動に移れるように準備しておくことである。
つまり家財道具などは親に頼んでなるべく処分しておいてもらうことだ。隣家との境界や権利関係などでもめ事がある場合には今のうちに解決しておくことも肝要だ。
またこんなことはまだ元気でいる親に言うべきことではないのかもしれないが、実家の相続は相続人を1人にしてもらうことだ。「家は財産だから兄弟仲良く均等に」などと考えてもらっては困る。
私の知り合いは、東京の郊外にある実家を相続したが、相続人は兄弟姉妹4人。売ろうといえば妹が「お父さんの大事な思い出が詰まった家を売るなんて許せない」といわれ、固定資産税を払う際の分担については姉が拒否をする。姉は家の庭の草むしりにも一切協力せず「早く売ればいいじゃん」と主張するだけ。海外赴任の兄はもともと実家には無関心という板挟みに悩んでいるという。
「売れない」「貸せない」「自分も住む予定がない」という三重苦の詰まった「負動産」に苦しむ時代はもうすぐそこに迫っている。
実家で迎えることが多い年末年始。家の問題は家族の問題。お屠蘇を飲む前の話題としては多少不謹慎ではあるが、家族で真剣に話し合われてみてはいかがだろう。