多様化が盛んに叫ばれる昨今、かつて夫婦といえば夫唱婦随が常識だったが、もはやそれも古いのかもしれない。拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏によると、中国は既に一歩先んじている様子だ。
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姉さん女房は、金のわらじを履いて探せ……。かつては日本でもこんな言葉が普通に使われていた。こんな言葉がある裏側には、「妻は年下じゃなきゃ」という固定化された観念が社会にはびこっていたからである。
しかし、いまやもうそんなことを言う時代ではない。人々の生活スタイルは十分に多様化してしまっているからだ。そうした現実は、いま中国でも顕著になりつつあるようだ。時代の変化を象徴するような結婚観の変化を特集で報じたのは、『銭江晩報』(2017年11月15日)である。
記事では、中国社会科学院の研究者、李春玲氏の発表した「社会が変遷するという背景の下での中国青年問題研究」(=「問題研究」)を参照に現代の中国の若者が結婚相手に何を求めているかについて答えを導き出している。
その結果の一つが、「姉さん女房の急増」という現象だった。現地のジャーナリストは、「これは2010年から急増し、いまでは全体の4割を占めるまでになったといいますから驚きです」と、こう解説する。
「『問題研究』では、いまから10年前には、男性が年上という結婚が当たり前で、その比率は68.09%でした。しかし、いまではそれが43.13%まで落ちてしまったのです。逆に姉さん女房の割合は、10年にわずか14.37%でしかなかったのが、いまや40.13%にまでなっているのです。これは大きな変化でしょう」
しかし興味深いのは、中国にも「金のわらじ……」に似た言葉があり、姉さん女房を理想とする考え方がある。「女大三 抱金磚(3つ年上の女房ならば、金塊を抱いているのと同じ)」だ。
記事では、この言い伝えに就いても検証している。
復旦大学社会科学データ研究センターが1980年代以後に生まれた中国人を対象に行った調査によれば、7割の夫婦が年の差3歳以内であり、なかでも男性が女性より3歳から4歳若い夫婦では、互いの満足度が極めて高いという結果が導かれているという。逆に、最も満足度が低かったのは男性が女性より7歳以上年上であるケースだという。