視聴率が発表される前には、2018年9月限りで引退する安室奈美恵が出演したため、50%も狙えるのではという見方もあった。
「目玉が1人いても数字が一気に10%も上がるわけではない。逆に安室や桑田佳祐、エレファントカシマシ、X-JAPANが出なかったら、もう少し視聴率が落ちていたと考えるべきでしょう。
最近の紅白は2013年に連続テレビ小説の『あまちゃん』のヒットで小泉今日子や薬師丸ひろ子を出演させ、2014年には休業していた中森明菜を出演させています。もっとも人口ボリュームが大きく、まだテレビを観る層である40代の団塊ジュニアを狙い、1980年代に活躍したアイドルにスポットライトを当てた戦略でした。
2016年の宇多田ヒカル、2017年の目玉となった安室の主なファン層はもう少し下だと考えられ、まだ比較的人口の多い30代。安室の引退は国民的関心事でもありますし、テレビに馴染みのある30代を何とか食い止めようという意図もあったのではないでしょうか」(同前)
裏番組では、日本テレビの『ガキの使いスペシャル 絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時!』が17.3%を獲得して民放1位に。テレビ東京で演歌勢が多数出演した『年忘れにっぽんの歌』が8.4%と健闘したと伝えられている。
「今のテレビの視聴者は50歳以上がかなりのパーセンテージを占めており、テレ東が健闘したというより、その傾向がさらに強まっただけ。この数字を参考にして、紅白が50代以上にシフトした戦略を取れば、ますます『若者のテレビ離れ』が進むでしょう。
近年は団塊ジュニア周辺を狙う戦略も目立ちますが、紅白は基本的に20代や50代以上にも配慮した出演者をまんべんなく揃えて、全世代に見てもらおうという王道を貫く姿勢が見えます。2017年は、老若男女に嫌われない内村光良を総合司会に起用したこともその現われです。紅白は、日本におけるテレビ番組の象徴。単に視聴率だけを狙って特定の層に偏るのではなく、王道を貫く戦略で2018年以降も40%近い視聴率を狙いに行くのではないでしょうか」(同前)