共働きで2児の母である村上冬美さん(34才・仮名)は「うちも『残念和食』です」と言うが、そのことに恥ずかしさも罪悪感もないと話す。
「だって、ちゃんとした和食って、ご飯、みそ汁、主菜、小鉢と品数も多いし、洗い物がたくさん出るから、仕事と育児に追われる私にはとても作れないんです。うちの夕食はおかずをご飯にのせる『のっけご飯』が定番。おかずはアボカドと卵焼き、目玉焼きにマヨネーズとのり。カフェ飯みたいにスプーンで食べれば、洗い物も少なくて済む」
主食の重ね食べも少なくない。主婦の佐野ゆきえさん(29才・仮名)は、子供が食べてくれるなら、とあっけらかん。
「5才になる娘の好きな定番メニューはフライドポテトと焼きそばにご飯。焼きそばは味がしっかりしているからおかずとして成り立つんです」
なかには調味料を捨ててしまったというツワモノまで。めんつゆ信者の田所容子さん(43才・仮名)は笑いながら話した。
「“調味料のさしすせそ”は台所に1つもないですね。めんつゆとポン酢さえあれば、大丈夫。肉も魚も野菜も、それで味付けすればたいていはおいしくなる」
情報番組『噂の!東京マガジン』(TBS系)の『やって!TRY』は、街頭や遊園地などで若い女性に声をかけ、料理に挑戦させる名物コーナー。昨年12月3日放送回は「かきあげ」作りにチャレンジする回だったが、ある女性は「かき」を油で揚げて、スタジオを唖然とさせた。
長年同番組に出演し、和の食材を大切にしているフレンチレストラン『オー・ギャマン・ド・トキオ』の木下威征オーナーシェフが言う。
「もちろん昔から料理の手順がわからない若者はたくさんいましたが、できないにしても素材や料理そのものについては知っていました。しかし今の子は、例えば『かつおのたたき』を作るとき、さんまやさばを選んでしまう。魚の名前もわからない子が多いのは、昔は魚も魚屋で1匹買って自宅でさばくことが多かったけれど、近年便利になりすぎてスーパーに並ぶ魚も切り身パックのタイプが多く、魚の判別も難しくなったからでは…」
※女性セブン2018年2月1日号