片山:北朝鮮のミサイルなんて比べものにならない究極の兵器ですね。
佐藤:そうなんです。北は最近になって、やっとミサイルを大気圏に再突入させた。でもそれだけでしょう。
日本の探査機は小さな惑星まで飛んで、7年後に正確に戻ってくる。それにウラン濃縮爆弾を搭載すればどうなるか……。
片山:美談として語られたはやぶさ帰還ですが、視点を変えれば日本の潜在的軍事力の高さを内外にアピールしたといえるんですね。1980年代の石原慎太郎の長編小説『日本の突然の死─亡国』では日本が独自の技術に頼って自主防衛路線に走り、日米関係が脆弱化して、かえって亡国に至るストーリーが活写されていましたけれど。
●かたやま・もりひで/1963年生まれ。慶應大学法学部教授。思想史研究家。慶應大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。『未完のファシズム』で司馬遼太郎賞受賞。近著に『近代天皇論』(島薗進氏との共著)。
●さとう・まさる/1960年生まれ。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。主な著書に『国家の罠』『自壊する帝国』など。共著に『新・リーダー論』『あぶない一神教』など。本誌連載5年分の論考をまとめた『世界観』(小学館新書)が発売中。
※SAPIO 2018年1・2月号