『統一日報』主幹の洪ヒョン氏
左翼政権の基盤も脆弱だ。文在寅が立候補した2012年と2017年の大統領選を比べると、有権者の投票数は200万票増えたが、文在寅が獲得した票数は逆に130万票減った。韓国国民の4割程度は右でも左でもない浮動層であり、この層を取り込めば勝機はある。
そして、軍事力を伴う巨大な現状変更、軍の蜂起だ。韓国の憲法5条2項は、「国軍は国家の安全保障と国土防衛の神聖な義務を遂行することを使命とし、その政治的中立性は遵守される」と定める。
国家安保と国土防衛のためなら、軍には蹶起する義務と権利がある。野党・自由韓国党の議員である沈在哲国会副議長が指摘した通り、国体変更をめざす極左勢力の行動は内乱罪に十分相当し、彼らの野望が叶う前に民衆政権を打倒せねばならない。
文在寅は、文明社会の敵である金正恩とひとつの心臓を共有している。中国共産党に味方する「文在寅革命政権」は自由民主体制の敵と見做すしかない。
私は韓国陸士を出て、共産主義との熱戦と冷戦を戦った。卑怯な平和は奴隷への道であり、全体主義独裁体制に勝つためには血を流す覚悟が必要だ。韓国にまだ、骨のある将軍が残っていることを期待したい。
【PROFILE】HONG Hyung/1948年生まれ。韓国陸軍士官学校を卒業後、野戦部隊の小隊長などを経て、国防部勤務。外務部へ転職後、駐日韓国大使館で参事官と公使を務める。退官後、早稲田大学客員研究員、桜美林大学客員教授を経て、現在、統一日報主幹。
●取材・構成/池田道大(フリーライター)
※SAPIO2018年1・2月号