「我々は自分の体を“一つのもの”と考えてはいけないと思うのです。人間の体は約60兆の細胞からできています。その一つ一つが“生きるためにはどうすればいいか”を考えて動いている。だからこそ、自分が意識しなくても脈は変動し、寒ければ鳥肌が立ち、物を食べれば唾液や胃液が分泌される。
いわば人間は60兆の生命の集合体。近代医療は病気の原因をことごとく外に求めてきましたが、そうではなく“体の中”を見つめ直し、自分の体を信じることで、内なる病気をいかに発症させないかを考えることが重要なのです」
そう佐藤院長が免疫の重要性を説明すると、それを受けて山田長老は聴衆に語りかける。
「薬は何のために飲むんか。医者に行くのは何でか。お金を稼がせて頂くのは何のためか。それをただ自分だけのためやと思っていると、どんどん人相が悪くなっていきます。国会議員を見ても、最近の相撲界を見ても、そういう悪い顔が多いですな(笑い)。
そうでなく、体が健康になったら“地域のために、社会のために、孫のためにこんなことをしてみたい”という目標を持てるか。それが『心の免疫』を高めていくことに繋がっていくんやないかと思うんです。
仏教には『熏習(くんじゅう)』という言葉があります。すぐには効果が見えなくても、仏さんの教えを一生懸命聞いて、毎日善い習慣を繰り返すことによって、少しずつ香りが衣服に染み込むように無意識のうちに仏の心が体に染みこんでいく。そうするとしだいに『人格』も変わっていくんです」