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うどんチェーンにも「ちょい飲み」の波 伏兵は山田うどんか

山田うどんの新業態「県民酒場ダウドン」(東京都清瀬市)

「丸亀製麺」「はなまるうどん」など大手チェーンを筆頭に、いまや女性客やファミリー層からも人気の立ち食い・セルフサービス式のうどん店。市場調査会社の富士経済によれば、そば業態も含めたその市場規模は2000年代から右肩上がりで、2545億円。総店舗数は8240店にも及ぶ(2017年見込み)。

 提供時間は概ね5分以内。かけうどんや釜あげうどん、釜玉うどん、トッピングの天ぷらなども充実、手軽な外食としてすっかり定着している。それでいて各店とも客単価は500円前後と財布にもやさしい。

 だが、そんなセルフ式うどん店で差別化を狙う動きが起きつつある。いま流行りの“ちょい飲み”需要の取り込みだ。外食ジャーナリストの中村芳平氏がいう。

「節約志向の高まりや、残業せずに家飲みするサラリーマンが増えたこともあり、居酒屋業界は総じて苦戦していますが、ちょい飲みは別。会社帰りに食事も兼ねてフラリと立ち寄り、数杯のお酒を飲んでも1500円程度で収まれば大満足ですからね。

 夜のちょい飲み客を多く掴んでいるのは、『サイゼリヤ』や『日高屋』、最近でいえば『吉野家』など牛丼チェーンも手掛ける中、それらに割って入ろうとしているのが蕎麦やうどんの業態です。

 もともと蕎麦はビールや日本酒を飲んだ後のシメに食べる人が多いため、うどんもアルコールとの相性がいいのではないかと。ラーメンで有名な『一風堂』も『博多うどん酒場イチカバチカ』を展開していますからね」(中村氏)

 店舗数787店と圧倒的な規模を誇るセルフ式うどんの丸亀製麺は、すでに一部店舗でちょい飲みを実施している。30分1000円飲み放題(ビール・ハイボール・レモンチューハイ他)で、うどんまたは親子とじ、それに好きな天ぷらと惣菜が2品ついてくるなどのサービスを実施して好評を博す。

 さらに、丸亀製麺を運営するトリドールホールディングス(HD)は昨年、100円台のつまみや500円以下のアルコール類を豊富に揃える立ち飲み居酒屋「晩杯屋」(運営会社/アクティブソース)を買収。本格的にちょい飲み戦線に参入した。「いずれ、晩杯屋の酒・つまみ類を丸亀製麺に取り入れるコラボ展開もあり得る」(外食専門誌記者)

 丸亀製麺以上に旺盛な出店攻勢で464店にまで増えたはなまるうどんは、やはり一部店舗で生ビールなどのアルコールを提供しているものの、今のところちょい飲みを前面に押し出した戦略は取っていない。

 だが、はなまるの業績はいまや運営母体の吉野家ホールディングスを下支えするほど堅調で、HD社長の河村泰貴社長は、はなまる買収後に経営の立て直しに尽力した、いわば“うどん通”。折しも牛丼の吉野家ではちょい飲みの「吉呑み」も人気となっているため、こちらも今後の居酒屋展開から目が離せない。

 そんな中、うどん居酒屋の新潮流に強力な“伏兵”が現れた。本拠地のある埼玉を中心に関東圏で165店舗を展開する「山田うどん」だ。

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