「埼玉のソウルフードとしてファンも多い山田うどんは、以前から主力のうどんの他に野菜炒めやさば味噌煮、パンチと呼ばれるもつ煮込みなど、お酒によく合うサイドメニューが充実していて、ちょい飲みに適した業態でした」(前出・中村氏)
地元店舗では家着で集合してちょい飲みする「山田飲み」も普通の光景だというが、山田うどんの進化形ともいうべきうどん居酒屋がついに登場した。昨年12月、西武池袋線清瀬駅にオープンした「県民酒場ダウドン」だ。
昼10時~15時は定番のうどんや丼を提供し、17時~23時が夜の部。60種類に及ぶ一品料理やアルコール類を豊富に取りそろえる。例えば、海老、キスなど海産物の串天(200円)や山わさびのポテトサラダ(380円)、アサリの酒蒸し(480円)、鉄なべ麻婆豆腐(480円)など、酒のつまみがズラリ。肝心のうどんもアテうどんとしてマーラー焼うどん(600円)ほかを加えた。
アルコール類の充実にも驚く。レモンサワーだけでも特性シロップ入り、自家製漬け込みレモン入り、生絞り、フローズンと4種類(各280円)ある。また「琵琶のさざ浪」や「越生梅林」など埼玉の地酒(各グラス500円)も用意する。
ネット上では〈もう少し近くにあったら通っちゃう〉〈もっと都心でも展開しましょう! きっと流行りますよ〉など、店舗拡大に期待する声が高まっている。
「今後、ちょい飲みどころか本気飲みもできる“夜の山田うどん”が都心部や駅前の好立地に進攻してくれば、他のうどんチェーンにとっては間違いなく脅威になると思います。
もっとも、郊外のロードサイド型店舗も、これまでは車で来る人が多いのでなかなかアルコール類を充実させることが難しかったのは事実です。ただ、いまはノンアルコールビールもありますし、ファミリーで食事ができる進化形のちょい飲み業態ならば転換する余地は十分あるでしょう」(中村氏)
果たして、ちょい飲み以上、居酒屋以下の「うどん酒場」がどれだけ客足を伸ばすことができるか。