芸能

舞踊家・田中泯 「おどり」は、自分に眠っている

舞踊家の田中泯が「おどり」について語る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優としての活躍する舞踊家の田中泯が、「おどり」について話した言葉を紹介する。

 * * *
 近年は「役者」としての活躍も目覚ましい田中泯だが、長年にわたって追い求めてきたのは肉体を使っての芸術表現「おどり」。つまり、彼は「舞踊家」だ。

「未熟児に近い状態で生まれて子供の頃から中学の終わりくらいまで背が低かったんです。ちっちゃくて、弱かった。心配した母親に強引にバスケットボールをやらされたら好きになって。大学でもやったのですが、上には上がいました。能力の差を見せつけられて、身体能力じゃない世界に行きたいと思って『芸術をやりたい』と。

 子供の頃から、気づいたら踊っていたことは確かです。お祭のお神楽だったり、盆踊りだったり。夢中になっていました。中学に入る頃にテレビでロシアのモイセーエフ舞踊団を見た時の衝撃は今も忘れずに頭に残っています。高校の時にはシュールレアリズムにも触れました。

 そういうこともあったので、いつか何か芸術的表現をするだろうという予感はしていたんです。それで、スポーツから芸術へと一気に変わることになりました。最初は町の舞踊研究所でバレエのレッスン。それにジャズダンスもやりました。

 いずれも体幹の軸を意識するレッスンでしたが、それは今の僕の考えとは違います。西洋から入ってきたものは、簡単に言うと自己中心的。体幹を体の中心に据えます。でも、そこを中心に感じるのは本当は一瞬のことだと思うんです。人間の身体は絶対に止まりませんから。必ず動いているから、ぶれる。『一瞬だけ止まったかのように思える』のが真実だと思います」

 そして大学を辞め、アーティストとしての道を歩み始める。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン