香りの効用は、たとえばコーヒーやみそ汁のだしのいいにおいに心が癒されるようなこともその1つだが、セラピー(療法)として行われるアロマセラピーには精油(エッセンシャルオイル)と呼ばれる天然の揮発性油が使われる。
「精油は芳香のある植物の葉、樹木、種子、果皮、樹脂などから抽出されるもので、日本では約120~140種類もの精油が販売されています。それぞれの植物に含まれる成分には、抗菌、免疫向上、鎮静、鎮咳、静脈強壮、肝臓強壮、腎機能促進、蠕動運動促進、血流増加、催眠…etc.と、特有の作用があります。
さらに、精油の成分を取り入れるために、いろいろな方法で香りを拡散させて浴びる芳香浴や、お湯に入れて行う入浴や部分浴、また植物油に精油をブレンドしたものを皮膚に塗布してトリートメント(マッサージ)を行う方法もあります」
たくさんの種類の精油の中から、日常生活で、高齢の親を癒すために使うのにおすすめのものを聞いてみた。
「メディカルアロマセラピーでは、患者さんの病気や症状に応じて精油を選びますが、薬とは違って『この症状を治すためにはこれ』といった明確なものではありません。むしろ大切なことは、その人が好きな香りであること。
香りには嗜好性があります。たとえば一般的にラベンダーには鎮静作用があるといわれますが、ラベンダーの香りが好きではない人に対して、その鎮静作用は働きません。ですから、まずは効能よりも実際に香りを確かめて、好みかどうか、心地よいかどうかで選ぶとよいでしょう。
比較的多くの人に好まれ、使いやすいものはオレンジ・スイート、真正ラベンダー、ローズウッド、ヒノキ(国産)など。また認知症予防・改善の効果が検証されたレモングラスもおすすめです」
※女性セブン2018年3月8日号