ライフ

【著者に訊け】北野新太氏 将棋棋士描く『等身の棋士』

『等身の棋士』を著した北野新太氏

【著者に訊け】北野新太氏/『等身の棋士』/ミシマ社/1600円+税

 いわゆる新聞記者の文章でも、将棋記者のそれでもなく、何かが懐かしかった。この感覚、何だっけ、と思いながら読み進むうち、ピンとくる記述を見つけた。史上最年少の14歳2か月でデビューして早々、破竹の29連勝を記録した藤井聡太四段(当時)を取材した際、かつて羽生善治永世七冠も愛読したという沢木耕太郎著『深夜特急』を、著者・北野新太氏が贈るくだりだ。

 聞けば中学の時に読んだ『一瞬の夏』に衝撃を受け、大学時代は「沢木さん会いたさに『SWITCH』編集部でバイトまで始めた」という彼は、卒業後、報知新聞へ。現在は同文化社会部の将棋担当として千駄ヶ谷の将棋会館に通う。

 本書『等身の棋士』は、ウェブ連載「いささか私的すぎる取材後記」等を抜粋したエッセイ集だが、勝負師の孤独に寄り添い、横顔を伝える著者の感性こそが、類著にはない個性を放つ。

 羽生善治、渡辺明、加藤一二三、木村一基、中村太地などなど、そこには棋士がいて、書き手である〈私〉がいた。両者の間に生じた言葉にならない空気までが伝わってくる、2014~2017年の将棋クロニクルである。

「元々僕は大学までバスケ部で、2005年に会社員を経て棋士になられた瀬川晶司五段を取材するまでは、将棋と全く縁のない人間でした。でも今は将棋担当でよかったと思う。例えば巨人軍担当だった20代の頃は華々しく活躍する選手を見ながら、その光の中にいない自分に忸怩たる思いがあった。スポーツをやる自分と書く自分の距離感がうまく掴めなかったんです。でも、将棋はド素人なので彼らと自分を比べようという発想自体ないんです(笑い)」

関連記事

トピックス

無期限の活動休止を発表した国分太一
「給料もらっているんだからさ〜」国分太一、若手スタッフが気遣った“良かれと思って”発言 副社長としては「即レス・フッ軽」で業界関係者から高評価
NEWSポストセブン
ブラジル訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《クッキーにケーキ、ゼリー菓子を…》佳子さま、ブラジル国内線のエコノミー席に居合わせた乗客が明かした機内での様子
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン
”アナウンサーらしくないアナウンサー“と評判
「笑顔でピッタリ腕を絡ませて…」元NMB48アイドルアナ・瀧山あかねと「BreakingDown」エース・細川一颯の“腕組み同棲愛”《直撃に「まさしくタイプです(笑)」》
NEWSポストセブン
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一(右/番組の公式サイトより)
《TOKIO・国分太一が無期限活動休止》「演者とスタッフは“独特の距離感”だった」関係者が明かす『鉄腕DASH』現場の“特殊な事情”
NEWSポストセブン
グラビアのオファーも多いと言われる中川安奈アナ(本人のインスタグラムより)
《SNSで“インナーちらり笑”》元NHK中川安奈アナが森香澄の強力ライバルに あざとキャラと確かなアナウンス技術で「ポテンシャルは森香澄以上」との指摘
週刊ポスト
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一(右/番組の公式サイトより)
《スタッフに写真おねだりか》TOKIO・国分太一は「コンプライアンス上の問題行為が複数あった」…日本テレビに問い合わせた結果
NEWSポストセブン
不倫が報じられた錦織圭、妻の観月あこ(Instagramより)
《錦織圭・モデル女性と不倫疑惑報道》反対を押し切って結婚した妻・観月あことの“最近の関係” 錦織は「産んでくれたお母さんに優しく接することを心がけましょう」発言も
NEWSポストセブン
お疲れのご様子の雅子さま(2025年、沖縄県那覇市。撮影/JMPA) 
雅子さまにささやかれる体調不安、沖縄訪問時にもお疲れの様子 愛子さまが“異変”を察知し、とっさに助け舟を出される場面も
女性セブン
不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《美女モデルと不倫》妻・観月あこに「ブラックカード」を渡していた錦織圭が見せた“倹約不倫デート”「3000円のユニクロスウェットを着て駅前チェーン喫茶店で逢瀬」
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《永野芽郁に新展開》二人三脚の“イケメンマネージャー”が不倫疑惑騒動のなかで退所していた…ショックの永野は「海外でリフレッシュ」も“犯人探し”に着手
NEWSポストセブン
インドのナレンドラ・モディ首相とヨグマタ・相川圭子氏(2023年の国際ヨガデー)
ヨグマタ・相川圭子氏、ニューヨーク国連本部で「国際ヨガデー」に参加 4月のNY国連協会映画祭では高校銃乱射事件の生存者へ“愛の祝福”も
NEWSポストセブン