今春創立120年を迎える福岡県立東筑高校は毎年約200人の国公立大学合格者を出す進学校ながら、昨夏と今春の2季連続甲子園出場を成し遂げた。いよいよ明日開幕するセンバツ高校野球では、開幕試合で福島・聖光学院と対戦する。このセンバツでも公立出場校は21世紀枠の3校を含め9校と、私学優勢は顕著だ。日本唯一のアマチュア球児向けフリーマガジン「サムライベースボール」発行人の古内義明氏が、青野浩彦監督の本音を訊いた。
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──福岡で公立勢として1996年の同校以来、21年ぶりの甲子園。そして秋も県大会を制し、九州大会ベスト4でセンバツ出場となりましたね。
青野監督:昨夏の経験者が5人残った新チームだったので、それだけでも余裕があるのかなと思っていました。だから、甲子園は出るだけではなく、勝ちたいという気持ちに変わっています。東筑は連続出場がめったにないわけですから、何回も出ている学校はそういう面でも有利ですよね。
──昨夏は九産大九州、福岡工大城東、西日本短大付、そして大本命の福岡大大濠を次々に破って21年ぶりの聖地でした。
青野監督:「いつから甲子園を意識しましたか?」と聞かれましたが、これだけの有名な私学相手に甲子園を意識するわけがなく、それが良かったと思います。公立校は絶対に勝たなければいけないチームとやると意識してしまう。相手はそれがプレッシャーになると思っています。私学に勝つには、「先行逃げ切り」というのはあります。向こうも焦るから、序盤は大事。私学の時は強いから、「当たって砕けろ!の精神」で思ったことはどんどんやれますが、逆に、私も公立高が相手だと、「絶対に負けられない」と考えて苦戦します。
──2季連続での甲子園も意義深いことですね。
青野監督:公立校が夏と春に勝つのは大変なことです。すべての福岡の学校にチャンスがあるのはいい事だし、夏の甲子園に出場した学校で地力があっても、「センバツは優勝目指すぞ!」と、なかなか福岡の学校はなりません。東筑は1996年に石田泰隆投手で甲子園に出て、次の代は秋に県大会決勝戦まで行きましたが、そこで敗戦したことがありました。だから、もし次にそんなチャンスがあったら、絶対に逃したくないと思って、昨秋の決勝戦は戦っていました。
──今の2年生の代に、いい選手が揃ったことも一因ですか?
青野監督:この学年は結構揃っていますし、1年生が4、5人食い込んで来る感じですね。いつも思うのが三拍子揃った選手はなかなかいないです。守れるけど、打てないとか、打てるけど肩が弱いとか、ベンチ入り20人の色んなタイプの選手を取っ替え引っ替えしながらやるので、いつも9人だけで試合は終わりませんね(笑)。
──公立校とは思えないほど、しっかりとした体格の選手が多い印象です。
青野監督:体が大きい理由は何キロも長距離を走らないからです。雨の日に学校の坂道ダッシュをするぐらいで、長距離は走らないし、持久力系もゼロです。年間を通じてウエイト・トレーニングのメニューは決めていますが、「自分たちで考えてやりなさい」と投げ渡しています。いま、高校球界で流行っている食トレもない。「家でしっかり食べなさい」とは言っています。その代わり、いま流行りのピチピチのユニホームを着ているから大きく見えるかもしれませんね(笑)。