女将特製のつまみも名物。料理店顔負けの腕前だ
「(製鉄の)門を出ると、女将の笑い声が聞こえるんだよ。なんというか、自分がガキの頃に聴いていた母ちゃんの声みたいで、すごく魅力的な笑い声なんだ。素通りできない、寄らないで帰れないよ。製鉄の者じゃなくたってそうだと思うよ」(60代、製鉄業)
「それは間違いないですね。私、この店を知ったのは退職してからなんですが、女将の笑い声につい引っ張り込まれたのが最初です。いつも楽しげで、元気がもらえるんです。ほら、あの笑い声、わかるでしょ」(70代、酒造業OB)
「いつも笑っているけど、静かなときはあるのかってよくお客さんに聞かれますね。自分じゃわからないけど、眠ってるときぐらいかなって答えてます。ハハハハハ」と、誰からも好かれる笑顔で答える須賀子さん。
「まだ昭和だった時代にタケちゃん(ご主人・毅さん)のとこへ佐賀からお嫁に来たの。当時の店は大げさでなく、製鉄で働く人であふれていましたね。でも、嫁入り前は保母さんをしていたので、その経験が役に立ったかな。みんな子供みたいに思えて、手がかからない分、楽ですよ(笑い)」
「その笑い声と並ぶ、魅力がもうひとつあるんだ。仕事を終えて風呂に入って、普通はそこでのどをうるおしたくなるけど、我慢して飲まないんだ。そのまま店に直行してここで焼酎ハイボールを飲む。うまいんだよ。甘くなくてスーッと飲めるからね。みんなまったり酔いしてるところに遅れて来ても、すぐに追いつけるんだよ」(60代、製造業)