ライフ

佐川宣寿氏の証人喚問に学ぶ「言い逃れの極意」

ポイントをずらして謝ることも大事

 どんな場面にも“学び”はあるものだ。コラムニストの石原壮一郎氏が国会の証人喚問を目にして考えた。

 * * *
 人間、いつどんなピンチが訪れるかわかりません。後ろ暗いことや身に覚えがあることについて、厳しい追及を受けることもあるでしょう。そんな時にどう言い逃れたらいいのか。追い詰められた状況をどう切り抜ければいいのか。あらかじめ心の準備をしておくのが、大人の用心深さであり狡猾なしたたかさです。

 3月27日に衆参両院で、元国税庁長官の佐川宣寿氏への証人喚問が開かれました。明らかに真っ黒な事柄について、あくまでシラを切り続けるのはさぞ辛かったでしょう。本当の悪人たちにいろんな役割を背負わされ、大きな力に翻弄されている悲哀もひしひしと感じます。努力に努力を重ねてエリート街道を歩んできたのに、たいへんお気の毒です。

 それはそれとして、4時間以上にわたる証人喚問では、これでもかというほど念入りに「言い逃れの極意」を見せつけてくれました。たとえば、浮気がバレて妻から厳しく追及されたらどう言い逃れればいいのか。山ほど状況証拠があって、誰がどう見たって浮気行為への「関与」が明らかだったとしても、素直に白状するわけにはいきません。絶体絶命のピンチに備えて、私たちが佐川氏の答弁に学びたいのは、次の3つの極意。

1.核心に触れそうな部分はどんなに怪しくてもとぼけ続ける
2.自分が主張したい部分はどんなに不自然でも力強く認める
3.微妙にポイントをずらしながらきっちり謝っておく

 順に、具体的な応用の仕方を見てみましょう。まずはひとつめの「核心に触れそうな部分はどんなに怪しくてもとぼけ続ける」という極意。「このLINEのやりとりはなによ!」「同僚の○○さんと朝まで飲んだって言ってたけど、○○さんは知らないって言ってたわよ」など、明確な証拠を突き付けられたとしても、簡単に白状してはいけません。

「そのLINEは本当に私が書いたのかどうかについては、浮気をしたという疑念を生じるおそれがあるので、お答えは差し控えさせていただきます」というセリフで乗り切りましょう。「少々お待ちください」と言って、補佐人ならぬ同僚の○○に電話して“助言”を求め、「彼の思い違いでした」と証言を訂正してもらう手もあります。

 ふたつめの「自分が主張したい部分はどんなに不自然でも力強く認める」という極意も、積極的に実践したいところ。明らかにデート向きのレストランのレシートを突き付けられて、「このお店にふたりで行ったのよね。下心があったんでしょ!?」と聞かれたら、力強く「一切ございませんでした!」と答えましょう。「ホテルに誘ったんでしょ?」と聞かれたとしても、「そういう事実はまったくありません!」と言い切ります。

 ただし、妻の場合は、阿吽の呼吸の質問者のように「下心はなかったんですね」「ホテルには誘わなかったんですね」と、こっちに都合のいい答えを誘導するような聞き方はしてくれません。逆に「下心があったんですね」「ホテルに行ったんですね」と聞かれる可能性のほうが大。誘導尋問に乗って、うっかり認めてしまわないように気を付けましょう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

筒香が独占インタビューに応じ、日本復帰1年目を語った(撮影/藤岡雅樹)
「シーズン中は成績低迷で眠れず、食欲も減った」DeNA筒香嘉智が明かす“26年ぶり日本一”の舞台裏 「嫌われ者になることを恐れない強い組織になった」
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
12月9日に亡くなった小倉智昭さん
【仕事こそ人生でも最後は妻と…】小倉智昭さん、40年以上連れ添った夫婦の“心地よい距離感” 約1年前から別居も“夫婦のしあわせな日々”が再スタートしていた
女性セブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
元夫の親友と授かり再婚をした古閑美保(時事通信フォト)
女子ゴルフ・古閑美保が“元夫の親友”と授かり再婚 過去の路上ハグで“略奪愛”疑惑浮上するもきっぱり否定、けじめをつけた上で交際に発展
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン