奥さんは退職して働かないのですから、労働契約の不履行ですが、これに違約金を定めるのは違法ですし、無効です。この第16条違反は「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金」で処罰される犯罪です。この点を指摘して賃金の2割カットを拒絶してください。それでも満額の給与が支払われない場合には労働基準監督署に相談されるのがよいでしょう。
さて、契約書を見せない点ですが、労働条件は就業規則で定める基準以上でなくてはなりません。そこで就業規則の開示を求めたらよいと思います。使用者は就業規則を常時各作業場の見やすい場所へ掲示したり、書面で交付するなどの周知義務を負っており、その違反にも罰則の適用があります。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2018年4月20日号