ビジネス

日銀「黒田総裁続投」で日本経済は失われた30年へ突入

大前研一氏は日銀・黒田総裁続投をどう見る?

 日本国の中央銀行、日本銀行は行政機関では無いものの、金融政策については行政の範疇にあるとみられており、その決定は政財界に大きな影響力を及ぼす。経営コンサルタントの大前研一氏が、続投が決まった黒田東彦総裁により、日本経済の未来がどう変わるかについて解説する。

 * * *
 日本銀行の黒田東彦総裁が再任された。日銀総裁を2期連続で務めるのは1961年に再任された第20代の山際正道総裁(やまぎわまさみち、1956~1964年)以来57年ぶりで、任期は2023年までの5年間。黒田総裁が任期満了まで務めれば、在任期間は一万田尚登総裁(いちまだひさと、1946~1954年)を超えて歴代最長となる。

 本来、日銀は政府から距離を置いて独自に金融政策の舵取りをすべきなのに、安倍首相の肝煎りで起用され、「アベノミクス」の柱である異次元金融緩和を継続してきた黒田総裁がさらに5年も続投するというのは異常事態だ。

 ところが、新聞・テレビはこの異例の人事をおおむね肯定的に報道している。これは全く理解不能だ。日銀は「物価上昇率2%」を目標に掲げ、2019年頃に実現できるとしているが、これまでに達成時期を6回も延期している。にもかかわらず、馬鹿の一つ覚えのように国債やETF(上場投資信託)を買うだけだ。そんな「異次元」の金融緩和をしても、この5年間の物価上昇率は原油などエネルギー価格の影響を除くと、ほとんど変わっていない。

 結局、黒田総裁やその取り巻きは、20世紀の古い経済学に基づいた金融政策しか議論していないから間違えるのだ。実際に庶民の目から見て、どこにどんな需要があり、それがどう変化しているのか、20代の若者が70代の高齢者より出不精になっている時代にどんな政策が有効なのか、といったことを全く考えず、若い頃に学んだ経済理論を振り回して金利とマネタリーベース(資金供給量)をいじっているだけである。

関連記事

トピックス

行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
SNSで「卒業」と離婚報告した、「第13回ベストマザー賞2021」政治部門を受賞した国際政治学者の三浦瑠麗さん(時事通信フォト)
三浦瑠麗氏、離婚発表なのに「卒業」「友人に」を強調し「三浦姓」を選択したとわざわざ知らせた狙い
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン