勝って上のクラスにひとつステップアップする。そして、クラスが上がれば上がるほど1着の重要性が増してくる。たしかに条件戦のうちは休み明けなど2、3着でいい場合もある。重賞にまで駒を進められれば、2着だったとしても賞金も加算されるし、GIで勝てばいいと腹を括れるところもあります。
勝ちを重ねて3歳のうちにオープン入りすると、使いたいレースを早めに決められるので、陣営はぐっとラクになります。そんな「抜けていく」ような馬は相当な能力の高さが要る。1勝馬で阪神ジュベナイルフィリーズを勝ったウオッカもそうだったし、新馬→オープン特別→重賞と3連勝したエピファネイアもそうでした。そんな素質は馬主さんも厩務員も助手もはっきりと感じています。素晴らしいものは分かりやすいのです。
1着にこだわる一方で、1勝馬や3歳未勝利などの場合、なにがなんでも勝たせようという強い調教は避けます。勝手に走って1着といったケースは別として、身体が完成するまではじっくり育てます。
良血馬を多く預けていただいているので、まずは入厩、ゲート試験合格が大前提。すぐにデビューさせないでいったん放牧に出すこともあります。レースに出すためには万全を期さなければならない。1つ勝てば、いつかチャンスが巡ってきます。
そういった事情から、どうしてもクラシックは微妙な位置づけになります。