イベントのスケールの大きさとリッチさは、加藤では担保しきれない。そこで登場するのが、リッチでおなじみの叶姉妹。スミソニアン博物館で飾られるダイヤよりも大きいダイヤを見せつける恭子さん。美香さんの「姉なら1億円をすぐに使ってしまいます」というボケ。お約束のやりとりだがそれが良い。そして、叶姉妹が「カイジGPファビュラス!」と開会宣言。

 続いて、加藤の口から明らかとなったのがROUND1のルール。会場には8つのステージが用意されている。1つのステージに1つのゲームがあり、それに挑戦者がチャンレンジ。成功すれば、勝ち抜け、失敗すると胸に貼った星が取られる(ゲームごとに取られる星の数は違う)。全3つの星がなくなった挑戦者は失格となる。

 ただ、2000人がいる東京予選会場にステージは8つ。そもそも挑戦権を得ることが難しい。各ステージ前には我先にと挑戦者が集う。1億円をめぐるから騒ぎ、これは見ものだった。生々しい欲望が結集すると凄まじいエネルギーになる。この禍々しさだけは『カイジ』っぽい。

 だが、その後がいただけなかった。挑戦するゲームが根性試しばかりなのだ。司会の加藤もゲームを「むちゃぶり」と表現する。

 主な「むちゃぶり」を列ねると「眉毛を全剃り」「細川たかしと同じ髪型にする」(※演歌歌手の細川は特別ゲストとして立ち会った)、「落選するまで鉄仮面をかぶる」など。また、「その場で婚姻届けを出す」「パイプカット」なんてものも。原作の『カイジ』にも「むちゃぶり」に応える場面はあったが、それはあくまでも脇役。主役となるのは、知力で戦うギャンブル。頭を掻きむしりながら、やり合うヒリヒリとしたバトルが醍醐味なのに!

『リアルカイジGP』で行われるのは、地上波での放送は難しいゲームばかりだ。しかし、過激さしかないとも言える。追い詰められた参加者たちが、ヒリヒリした雰囲気を漂わせつつ勝負に挑むスリリングな展開にはなかなかならず。テンションの高さは、まるで大人版『全国高等学校クイズ選手権』。原作漫画を上手に換骨奪胎できていない。

 たとえば「5人1組 放水大縄跳び」というゲームでは、男5人組が放水されながら大縄跳びに挑んだ。そのなかで「家がない」と語るおじさんが水に耐えながら必死に飛ぶ姿を見て、僕は笑えなかった。勝負に敗れると人生を奪われる原作のエグさばかりが主張され、軽妙さには欠ける。ゆえに弱いものを笑うだけの構図に見えてしまった。

『リアルカイジGP』は、現時点で2話分しか配信されていない。挑戦者が少なくなっていけば、知能戦も始まるのだろうか。番組を見るかぎり、「むちゃぶり」合戦が続きそうな気がするが……。僕としては挑戦者と加藤浩次がギャンブルで一騎打ちといった、原作同様の弱者が強者に挑む展開を見てみたい。

 いかにせよ、このスケール感は民放ではなかなかお目にかかれないわけで。今後もチェックして損はない番組だとは思う。

関連キーワード

関連記事

トピックス

12月9日に62歳のお誕生日を迎えられた雅子さま(時事通信フォト)
《メタリックに輝く雅子さま》62歳のお誕生日で見せたペールブルーの「圧巻の装い」、シルバーの輝きが示した“調和”への希い
NEWSポストセブン
宮崎あおい
《主演・大泉洋を食った?》『ちょっとだけエスパー』で13年ぶり民放連ドラ出演の宮崎あおい、芸歴36年目のキャリアと40歳国民的女優の“今” 
NEWSポストセブン
悠仁さまが2026年1月2日に皇居で行われる「新年一般参賀」に出席される見通し(写真/JMPA)
悠仁さまが新年一般参賀にご出席の見通し、愛子さまと初めて並び立たれる場に 来春にはUAE大統領来日時の晩餐会で“外交デビュー”の可能性も、ご活躍の場は増すばかり
女性セブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
日本にも「ディープステート」が存在すると指摘する佐藤優氏
佐藤優氏が明かす日本における「ディープステート」の存在 政治家でも官僚でもなく政府の意思決定に関わる人たち、自らもその一員として「北方領土二島返還案」に関与と告白
週刊ポスト
会社の事務所内で女性を刺したとして中国籍のリュウ・カ容疑者が逮捕された(右・千葉県警察HPより)
《いすみ市・同僚女性を社内で刺殺》中国籍のリュウ・カ容疑者が起こしていた“近隣刃物トラブル”「ナイフを手に私を見下ろして…」「窓のアルミシート、不気味だよね」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情
(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト