三木:なるほどね。でも、もし僕がやるなら、一つだけアイディアがあるんです。「昭和天皇」を描きたい。
磯田・春日:(声を揃えて)おお、それは観たい!
三木:実際にはいろんなハードルがあるんだろうけどね。僕は子供時代に軍国主義の日本を生きたわけだけど、皆が天皇は神であると信じ切っていたわけです。しかし敗戦によって天皇は「人間」になった。ご本人の葛藤はいかなるものだったか。ぜひ描いてみたいテーマです。
磯田:それは素晴らしい。『坂の上の雲』のような巨大なテーマとして取り組むべきです。
●ジェームス三木(じぇーむす・みき)/1935年、満州生まれ。脚本家、作家、演出家。『独眼竜政宗』『八代将軍吉宗』『葵 徳川三代』など、大河ドラマの脚本をはじめ多くの執筆活動を行なう。
●磯田道史(いそだ・みちふみ)/1970年、岡山県生まれ。歴史学者。国際日本文化研究センター准教授。近著に『素顔の西郷隆盛』(新潮新書)、『日本史の内幕』(中公新書)など。
●春日太一(かすが・たいち)/1977年、東京都生まれ。映画史・時代劇研究家。主な著書に『天才 勝新太郎』『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』(ともに文藝春秋刊)など。本誌・週刊ポストで「役者は言葉でできている」を連載中。
※週刊ポスト2018年5月4・11日号