磯田:現代の女性に受け入れられやすい女性像を追求したという点では、『直虎』は伝統的な大河ドラマよりむしろ「ディズニー作品」に近いのかもしれません。ディズニーと『直虎』を比較した研究者が言うには、直虎はディズニープリンセスに似ているんだそうです。昔のディズニー作品は王様と結婚するのが幸せな結末だったけど、最近では『アラジン』のように泥棒と結婚したりするわけです。直虎もそうだった。「結婚なんかは女の幸せじゃない」という現代女性の価値観を反映しているように思えます。ニュータイプの大河ですね。
春日:『直虎』は「実験作」だったと思います。大河ドラマは連続して大きな物語を描いていくのが基本ですが、『直虎』はそうじゃなくて毎回ひとつの小さな問題を解決させていく一話完結の構成でした。大河ドラマの新しい機軸を模索しているように思えました。
三木:私も大河ドラマは50年を超える歴史の中で、ほとんどのことをやり尽くしてしまったと思うんです。これからの脚本家は大変です。春日さんはこれからの大河はどうあるべきだと思う?
春日:新しいテーマを無理に探そうとしないで、「忠臣蔵」や「源義経」、「織田信長」、「豊臣秀吉」のような一年通して描きやすい題材を、解釈を変えつつローテーションでやっていくのもアリだと思います。