「中選挙区制下ではひとつの選挙区から派閥の違う複数の自民党候補が出馬して戦っていた。そのため、反主流派の自民党候補は選挙中に平気で政権批判を行ない、主流派も反主流派を批判する。そうして多くの議員を当選させた派閥が総理・総裁を出す。そうした分裂選挙は普通に行なわれていた」

 表向きの火付け役となった小泉内閣時代に総理主席秘書官を務めた飯島勲・内閣官房参与が解散説の例に挙げた大平内閣の「ハプニング解散」(1980年)がまさにそうだ。

 当時、自民党では福田派を中心とする反主流派が大平政権を批判して内閣不信任案の採決に欠席し、不信任案が成立。時の大平首相は解散に踏みきり、主流派の大平派・田中派と反主流派の福田派が互いに勢力を拡大しようと候補を立てて争う分裂選挙となった(選挙中に大平首相が急死して結果は自民が圧勝。選挙後には大平氏の最側近だった鈴木善幸氏が後継総裁に選出された)。

 小選挙区制になって自民党議員同士が同じ選挙区で争うケースはほとんどなくなったものの、それでも小泉政権の郵政解散(2005年)では、時の小泉首相が郵政民営化法案に反対した議員を片っ端から“除名”して刺客候補を立てるという事実上の自民分裂選挙となり、勝利したことで党内ヘゲモニーを握った。

「いまの安倍首相に反対派を除名して刺客を立てる力はない。万が一、反安倍を掲げて刺客を送られても、かえって“安倍さんに堂々と文句を言った”と有権者の支持を受けて選挙には有利になる。勝てば公約通り安倍降ろしです」

 反主流派議員は“勝算あり”と読んでいる。

※週刊ポスト2018年5月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン