「負け惜しみみたいですけど……途中からはいくらなんでも気づいてました。でも、女性と知り合えるのは事実だし、なんかこう……謎の高揚感があるんですよね(笑)。女を落とすぞー!みたいな……」
この男性は一つのセミナーに参加した後、同じく参加者から「こちらのセミナーのほうがすごい」などと誘い出され、その都度、有料の出会い系サイトに登録させられていた。その総額がいくらか、すでに男性本人も覚えていないが、数十万などという生半可な額でないことだけは確かだ。あまりにもくだらないが「ヤッた」「食った」と自慢していた男たちは、出会い系サイトの掌で踊っていたにすぎない。
これらは「モテる」や「痩せる」などといったキーワードを用いた、いわゆる「コンプレックス」商法に他ならず、この手法はいつの時代も手を変え品を変え「他人を陥れてやろう」と企む人々が、コンプレックスを持った人々から搾取する、という 関係性の上で成立する。傍から見ればバカバカしくとも、当人にとっては喫緊の課題であり、是非とも解消したい「コンプレックス」の問題を、甘言に塗れた詐欺師の一挙手一投足の中にその答えを見つけようとする。
「その後、出会い系サイトがサクラだらけ、セミナーもインチキなのではないか?ということが知れ渡り、一部のセミナーを残してみんなつぶれた。ほとんどの男性たちは”騙された”と憤り、また騙された恥ずかしさから退会した。今回、逮捕された男らが所属していたのは、業界でも二番目か三番目に大きいセミナーで、新規に若い男性や独身の男らがネットを通じて集められている。
非常にシステマチックに運営されていて、ナンパの達人たちが”成功”する姿を見た男性会員らは達人を師と仰ぎカネを払う。一回のセミナーで数万円を支払うくらいですから、その心酔っぷりは新興宗教を思わせる。口を開けばオンナ、セックスと呪文のように唱え、とにかく”打つ(性交する)”ことしか考えていない、偏執ぶりが目につく団体です」(事情通)
このような”異常者”の集まりだったからだろうか、セミナー参加者らは事あるごとに問題を起こし、中には女性に訴えられるなどして刑事訴訟に発展するような事件を起こす連中もいた。その一件一件は個別の「事件」としてしか取り上げられずにいたが、今回は、ナンパセミナーが引き起こした数多の事件のうちの一つなのだという。
「ヤッた人数そのものが勲章になる、というような出来の悪い思春期の高校生のようなことを成人になってもやっている異常なサークルという他ありません。女性が眠っていようが、酒やドラッグで昏睡していようが、とにかくヤレればよいという思想がまかり通っており、ほぼ強姦としか言えないような卑劣で悪質な手法が、テクニックとして体系化されている。非常に強いコンプレックスを抱いていたからこそ、その解消がなされたと勘違いする連中同士でお互いをたたえあっているわけですから、犯罪まがいの行為をしても咎めるものが誰もおらず、行為を誇らしげに公言するような連中でしたからね。
セミナー主催者は”違法性はない”と言っているようですが、女性蔑視も甚だしく、合法性や社会通念上に認められるという自信があるのなら”顔出し”で自らの正当性を訴えてはどうかと思う。覆面をかぶっていなければ存在できないようなセミナーは、一刻も早くつぶれるべきなのです」(事情通)
またぞろ「ナンパについていった女性にも問題がある」などと指摘する声が聞こえてきそうだが、自分の身内や友人らが同様の被害にあったとして、それでもなお被害者の「落ち度」を指摘できるなら、それこそ女性をモノとしてしか見ていない、ナンパセミナーの鬼畜たちと同じ考え方をしていると気づくべきだ。相手の同意がない性行為は、その人の人権をないがしろにする問題行動であり犯罪である。たとえプロが相手だとしても同じことだ。被害者に落ち度があるなどという考えは、入り込む隙間もないはずと心得ておくべきだろう。