ライフ

「責任は俺が取る」を使ってはいけないし、信じてもいけない

ランニングする日大アメフト部員(時事通信フォト)

 日々のニュースのなかにも学びはある。浮上した問題について、我が身に置き換えて考えるか否かで違いは大きくなる。コラムニストの石原壮一郎氏が指摘する。

 * * *
 もはや、ひとつの大学のひとつの部の話では止まらなくなっています。話がこじれ続ければ、あの大学の来春の受験者数は大幅に減少するでしょう。いわんや「危機管理」を看板にした学部をや。あの競技にも、すっかりマイナスのイメージが付いてしまいました。あの競技のOBは、聞かれなくても「じつは学生時代は……」と言いたがるタイプが多い印象がありますが、今は口をつぐんでいることでしょう。ああ、なんて罪作りなのか。

 今回の件は、さまざまな教訓を与えてくれています。どういうつもりかはわかりませんが、肝心の責任者が雲隠れして表に出てこないことが、相手方や世間の印象をどんどん悪くしました。「謝るなら早いほうがいい」というのが危機管理の基本中の基本。しかし残念ながら、本人がご存じなかっただけではなく、周囲も何も言えなかったようです。

「責任者」がその呼び方に反して責任を認めようとせず、立場が弱い学生にすべてを押し付けようとしているところも、火にガソリンを注ぎまくっています。騒ぎが大きくなって、やっと「直接謝罪に行く」と言い出したようですが、遅きに失した感は否めません。

 日々、さまざまな呆れたニュースが流れてきますが、ニュースを見ていて腹を立てているだけでは不愉快になり損です。どうせなら貪欲に果敢に、おっさんとしてのスキルを磨く具体的なノウハウを見出してしまいましょう。

 今回の件を含む最近のたくさんのゴタゴタから、全おっさんが学びたいのは、次の3つのセリフを使ってはいけないということと、そのセリフやそのセリフを平気で使うヤツを信じてはいけないということ。3つのセリフとは、これです。

【1】「責任は俺が取る」
【2】「指示した覚えはないが、受け取り方に食い違いがあった」
【3】「誤解を招く点があったとしたら、お詫びしたい」

 もしかしたら、上司の口からしばしば聞くセリフではないでしょうか。あなた自身も、カッコイイつもりで【1】を言ったり、あるいは【2】、や【3】を言えば逃げ切れるような気がして、口にしてしまっているかもしれません。言うまでもなく、それは大きな勘違いです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン