元文科省官僚で京都造形芸術大学教授の寺脇研氏も「財務官僚はもう安倍総理を見ていない」と指摘する。

「財務省はしたたかです。当面は不祥事の傷を最小限に防ぎ、次の総理の下で役所の再建を図ろうと動いている。これからは安倍政権を支えるという選択肢はとらないはずです」

 しかしながら、「ポスト安倍時代」の次官候補にポスト安倍の有力政治家である岸田氏の妹婿が挙げられていること自体、この役所が「政治からの独立」を果たせるのか怪しい。

 その昔、財務省に逆らえば政権は持たないといわれ、トップの事務次官は霞が関ばかりか、政財界を睥睨する存在だった。事実、この役所はいくつもの内閣、何人もの総理大臣を使い捨てにして増税を行なってきた。

 だが、落ち目の安倍政権の政治家の権力争いに翻弄される現在の姿をみると、かつて“霞が関の最高位”と呼ばれた財務次官ポストも政治家の行動も、あまりに軽量級に成り果てたというほかない。

 政治と行政、議員と官僚のギリギリのせめぎ合い、相互牽制がなければ、政治の活力も国のダイナミズムも生まれない。

※週刊ポスト2018年6月8日号

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