スカーレットを語る林真理子さん(撮影/浅野剛)


龍:引いたら駄目なんだ、常に前へ踏み出していけばいい、と思えるようになって。そのおかげで、プレッシャーから解放されました。

林:スカーレットも魅力的だけど、彼女を取り巻く登場人物もそれぞれに魅力的ですよね。 スカーレットとメラニー、レット・バトラーとアシュレという、まったく個性の異なる男女2組が主要人物として登場するのですが、アグレッシブなスカーレットとおしとやかなメラニー、大胆不敵なバトラーと物静かで優しいアシュレというように、2人を合わせると完璧な理想の女/男像になる。でも読み進めていくと、実はメラニーも相当強い女性ですよね。

龍:彼女は強いと思います。でも初めて読んだときは、なんか嫌な女だなって思ってましたね。お利口すぎて、でもすべてをお見通しなようでもあって。

林:私も昔はうざい女だなと思ってましたし、メラニーは善意だけの女性であると解釈する人もいますけど、そうじゃないですよね。いざというときは腹が据わっている。サザン・ベル(南北戦争以前のアメリカ南部における理想の女性像)の象徴的キャラクターだと思います。

◆真のいい男は傲慢で大胆? それとも優柔不純な草食系?

龍:スカーレットがずっと思い続けるアシュレと、スカーレットに愛を教えるバトラー。この2人も本当に対照的ですよね。

林:レット・バトラーは女性の理想像ですよね。でも年を取ってくると、アシュレのような優柔不断な男のよさもわかってきますよ。いい男ってだいたい優柔不断なんですよ。「いい男は引きの強い女に弱い」って渡辺淳一先生もおっしゃってましたから。

龍:そうなんですか(笑い)。

林:アシュレは物静かだけど余裕があるでしょう。スカーレットに対しても「ドジなきみもかわいいね」みたいに言える余裕。あれは少女漫画界に確実に引き継がれていった理想の男性像の1つだと思う。現実には絶対にいない男なんだってわかっているんだけど、憧れてしまうのよねぇ。映画版はご覧になりました?

龍:はい。何度も何度も観まくってから本番の舞台に臨みました。楽屋でお化粧をしているあいだもずっとDVDで映画を流していましたね。

林:原作の小説と映画を比較するとどうでした?

龍:映画版も素晴らしいですが、小説を読んだおかげで、さらに登場人物の感情がグッと自分の中に入ってきましたね。演じる側としては、台本に載っているセリフの奥にどんな心情があるのか、そこをいちばん知りたいので。そういう意味でも、原作の小説はとても役作りの参考になりました。

※女性セブン2018年6月21日号

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