クルマを運転しなければならない時や、お酒を飲めない人が飲み会の雰囲気を楽しみたい時などに好んで飲用するノンアルコールビール。いまや大手ビールメーカーの商品も揃い、市場拡大を続けてきたが、ここにきて伸び悩んでいる。そこで各社が打ち出したテコ入れ策とは? ジャーナリストの河野圭祐氏がレポートする。
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去る6月6日、日経MJが2018年上期ヒット商品番付を発表し、東西の「前頭」に高アルコールビールと強炭酸が入った。
アサヒビール常務取締役マーケティング本部長の黒木誠也氏は、「炭酸飲料市場における強炭酸は、いまや大きなトレンドの1つ」と語ったが、そのアサヒが翌7日に発表したのが、ノンアルコールビール、いわゆるノンアルビール(メーカー側はビールテイスト清涼飲料と呼ぶ)の新商品で“強炭酸”を打ち出した、「ドライゼロスパーク」(7月3日から8月末までの期間限定販売)だ。
同商品に触れる前にまず、ノンアルビール市場の推移を見てみよう。
先鞭をつけたのは、2009年に「フリー」を投入したキリンビール。同年のノンアルビール市場全体の年間販売量は457万ケース(1ケースは大瓶20本換算。アサヒビールによる推定値。以下同)でしかなかったが、2012年2月にアサヒが「ドライゼロ」を発売すると、同年は市場規模が1587万ケースまで伸びた。現在、ノンアルビール市場でシェア首位に立つのがアサヒで、以下サントリービール、キリンビール、サッポロビールと続く。
ただ、2012年に一気に伸びたノンアルビールは翌2013年が1626万ケースで、以降は1643万→1738万→1769万→1863万と毎年伸びているとはいえ、伸び率でいえばそれほど大きくはない。そこでもう一段のノンアルビール市場拡大や自社のシェアアップを狙って、各ビールメーカーはテコ入れを図っている。
業界で先駆けたキリンは昨年4月、看板ビール同様の「一番搾り製法」を導入した「零ICHI」を発売、サッポロは今年4月、麦の味わいやフルーティな香りを強化した「麦のくつろぎ」を投入し、需要喚起のために知恵の絞り合いといった様相だ。
冒頭で述べたアサヒの「ドライゼロスパーク」は、耐圧性に強いペットボトル容器の特性を活かし、缶の「ドライゼロ」に対して炭酸の強さを30%アップしたのが最大の特徴になっている。