ただし、アサヒが打って出た強炭酸という市場を一般の炭酸飲料商品まで広げてみると、サントリー食品インターナショナルの「南アルプス天然水スパークリング」や、アサヒ飲料の「三ツ矢サイダーゼロストロング」や「ウイルキンソン」、コカ・コーラの「カナダドライ ザ・タンサン」、キリンビバレッジの「メッツコーラ強炭酸」といった止渇性商品はあまたあり、ノンアルビールの新商品の打ち出し方によっては、自社グループでの食い合い、いわゆるカニバリも起こしかねない。
だが、前述の黒木氏は自信をもってこう語る。
「従来の『ドライゼロ』で培ったフレーバーの調合技術、それにグループである、アサヒ飲料の高炭酸ペットボトルの製造充填技術により、従来比で炭酸を30%高めることができた。ビールらしさがありながら刺激感のある味わいを出せたのです。
のみごたえと後切れのよさを重視し、時間が経過しても甘味が残ってしまわないよう、フレーバリングの調合もしました。今回の商品は従来のビールにはなかった、強炭酸という付加価値を加えたことが最大の売りです。
コンセプトはインドアでの飲用シーンからアウトドアへで、この夏は“海の家”での商品サンプリングも行いますし、私自身でいえばゴルフの際に『ドライゼロスパーク』をカートに積んで、スコアが良くても悪くても(笑)、これを飲みながらクールダウンしたいと思っています」
この10年で炭酸商品の市場は9倍まで膨れ上がったという調査結果もあるが、果たして伸びが鈍化しているノンアルビール市場でも、トレンドになっている強炭酸が起爆剤になるのか注目だ。