◆YouTuberに憧れる理由はなにか?
YouTubeに動画を投稿すると、多くの人の目に触れる上、動画が残ってしまうため、保護者としては心配が尽きない。では、どうすればいいのだろうか。子供がどのような理由によってYouTuberに憧れているのかによって、対処は変わるだろう。
「お金持ちになりたい」が動機の子供もいるが、実はYouTubeでは条件をクリアしていないと収益を得られなくなっている。チャンネル登録者数1000人、総再生数4000時間という条件をクリアして初めて収益化のための審査が受けられる仕組みだ。また、そもそも18歳未満の子供が直接収益を受けることもできない。有名YouTuberには、遊びの延長のような楽しさを演出している人が少なくないため、いかにも手軽に金儲けをしているように子供の目には映っているかもしれないが、現実は厳しいものだ。
「有名になりたい」が動機になる子は多い。得意なことをYouTubeなどで認められることは悪いことではないし、自分の可能性を広げるかもしれない。しかし、動画を投稿して炎上した小学生の中には、個人が特定されてネット上に公開されてしまっている子もいる。“炎上”というのはやっかいで、インターネットがある限り、なかなか忘れてもらえない。約十年前に投稿した画像が炎上したことから、いまも「あの画像の人」と言われ続ける人生を送っている若者もいる。そのようなリスクを伝えた上で、それでも表現したいことがあるのかどうかがポイントになるだろう。
一方、動画に親しむことで子供たちの表現力が高まっている面もある。言いたいことを完結にまとめたり、ビジュアル的に表現する力などは、昔の小学生より高くなっているように思う。自己表現や言いたいことを伝える力が高まることは、子供にとってプラスに働くはずだ。
もし表現したいことがあるなら、たとえばURLを知っている人たちのみ見られる限定公開に設定を変更して、動画を公開させてみよう。動画作成に興味があるのであれば、YouTuberたちの動画を参考に、企画から編集まで一通りさせてみるのもいいだろう。それをクリアした上でもっと多くの人に見てもらいたいことがあるのであれば、保護者が監修の上、個人情報を出さない約束で動画を作って公開させてもいいだろう。
YouTubeなどの動画関連のトラブルは、中高生になるとさらに増える。中高生になると保護者の目が届かなくなるので、小学生のうちに正しい使い方やリスクを教えておくといいだろう。親の言うことを聞く小学生のうちに教えておくことで、中高生になって自由にスマホを使い始めたときに、思わぬ大きなトラブルにつながる危険が防げるのではないか。
YouTubeアプリを使うと、動画を撮影、投稿することが子供でも容易にできてしまう。視聴者からの反響につられて、危険ないたずら動画の撮影に踏み出してしまうこともある。そして、保護者に隠れて公開されてしまうと、個人情報を公開してしまうなどのリスクが高くなる。子供の気持ちに寄り添いながら、リスクについて正しく教えていくのが、現代の保護者に求められることではないだろうか。