国内

Fラン大学で「8画以上の漢字が書けぬ学生がクラスに2人」

評論家の呉智英氏

 江戸時代と違って、いまの日本に「階級」はないと言われてきたが、最近はそうでもないらしい。評論家の呉智英氏が、古典的な階級社会とは異なる現代的階級社会の出現について語る。

 * * *
 二〇〇九年に出版された加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(朝日出版社、現新潮文庫)は、翌年小林秀雄賞を受賞し、今なお読み継がれている。私も当時読んで得るところがいくつかあった。その一つは、歴史に関してではなく、教育についてだ。

 本書は、書名通り日本近代の戦争を論じたもので、生徒相手の討議をまとめた講義録である。加藤は東大教授だから、生徒相手はおかしい、東大に学生はいるけれど生徒はいないはずだ、と思う読者もあろうが、生徒でいい。某名門中高一貫校の生徒を相手にした特別講義なのだ。この討議が驚異的である。

 加藤が質問する、「華夷秩序ってわかりますか」。生徒「朝貢と同じ?」。加藤「大体わかってますね」。別のところで加藤が問う、「日清戦争後、国内の政治で何が最も変わったでしょう」。生徒「『アジアの盟主としての日本』という意識が国民に生まれた」。加藤がうなずいて「そうです」。

 繰り返すが、受講生は大学生ではない。中高生だ。中学生も含まれている。この講義は夏休みに催されているから、最年少の生徒は四か月前までは小学生だった。

 華夷秩序と問われて朝貢と答えられる大学生が日本中にどれだけいるか。私が教えたことのあるFランクの大学では、八画以上の漢字が書けない学生がクラスに二人いた。当然、華も秩も貢も書けないし、そもそも「かいちつじょ」も「ちょうこう」も知らない。

 中学生の段階で人種が違うほどの差がついているのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン