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年間1万2000件の老人ホーム事故は、こうして闇に葬られる

老人ホームの事故の実態は

 老人ホームでの事故が相次いでいるのに、政府はそれに関するまとまった調査をしていない──そこで本誌・週刊ポスト(6月11日発売号)は「介護付き有料老人ホーム」の事故件数に関する聞き取り調査を行なった。対象は有料老人ホームから事故報告を受ける全国112自治体である。

 結果は1年間の事故総数が実に1万2206件、うち死亡は85件だった。調査結果に対して、こんな反応が寄せられた。

「これほどたくさんの事故が起こっていることを知って驚いた。母が入居している施設は大丈夫なのでしょうか」(東京都・50代男性)

 自身の家族を預ける老人ホームの実態を心配する声が相次いだが、中でもとりわけ多かったのは「家族に知らされないケースもあるのでは」という不安の声だ。

 実際に事件化した事例がある。2016年8月、大阪府の介護付き有料老人ホームで看護師が人工呼吸器の電源を入れ忘れ、68歳の女性利用者が死亡した。2か月前にも別の看護師がこの女性の呼吸器の電源を入れ忘れる事故を起こしていたが、家族や運営会社に伝えられていなかった。介護評論家の佐藤恒伯氏はこう指摘する。

「仮に自治体に報告があったとしても、すべてが家族に伝えられるわけではありません。むしろ大半の事故が家族に知らされないままであると考えたほうがいい」

 家族への報告について制度上はどうなっているのか。

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